【イベントレポート】起業手続きの面倒くささが解消される?  「電子化」のメリット&デメリットを徹底トーーーク!(上)

1月18日、サイボウズ株式会社東京オフィスで行われたイベント「内閣官房と法人設立申請の電子化を考えてみよう」に潜入!

実態を知りたい内閣官房と社会をITによって変える実験をしているサイボウズとフリーランスの起業の選択肢を増やしたいプロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会の3社が繋がり実現したコラボイベントです。

起業・法人設立に必要なさまざまな手続きですが、この煩雑さは近い将来、ぐんと解消されることになりそうです。その鍵を握るのが「電子化」。世界各国ではすでに電子化が進められていて、電子政府で有名なエストニアではわずか18分で会社設立ができたという記録もあるとか! 

政府がめざす電子化って? 世界最高水準の起業環境への道筋って? 

モデレーターを務めるのはサイボウズ株式会社の中村龍太さん、パネラーに内閣官房の川村尚永さん、株式会社食器プロ渡辺裕二さん、株式会社マモルの齋藤有子さん、株式会社DaccoDayの中山綾子さんを迎えてのイベントの模様を3回シリーズでリポートします。

「会社設立、私の場合」でケーススタディ!

龍太さんは、サイボウズに週4日、残りは別の企業での仕事に携わる複業家。個人事業主としての活動をもしていて、いずれは法人設立も視野にいれているそう。

「僕個人も、どうやったら会社ってつくれるんだろう? そもそも法人になるメリットってなんだろう? という興味があります。そこで、今日は会社設立のための手続きについて、実際に会社をつくった方々、内閣で法人設立の電子化を進めている川村さんと、みんなでいろいろ意見を聞きながら話をしたいと思っています」

モデーレータを務めた中村龍太さん

「法人設立の電子化」について議論を深める前に、まずは、「会社をつくるってどんな感じ?」を聞くところからスタート! 法人設立のきっかけ、申請にまつわる苦労など、リアルな体験談がシェアされました。

 

Case1 少しのミスが大きく響く!

株式会社マモルの齋藤有子さん

トップバッターは、昨年、2つの法人を相次いで立ち上げた齋藤有子さん。6月にフリーランスで活動してきた、事業開発ディレクターの仕事を法人化。そして7月末には、子どものいじめを未然に防ぐシステムを手がける株式会社マモルを創業しました。

個人事業主から法人化した時は、登録免許税が半額になる区の創業支援制度の利用と銀行の法人口座開設ですね。ネットで『絶対につくれない!』といううわさもいっぱい見ていたので。とくに個人事業のほうは、資本金も少ないし、オフィスもレンタル。ネットバンクでは条件だけで審査に落ちるかもしれないと推測して、メガバンクの窓口へ。

開設までの日数を計算して、最速で開けるようにとがんばりましたが、結局バタバタ。振込予定があるのに口座がない!とすごく焦りました。書類に不備があると、その後手続きが大幅にズレたりするんです。なんとか開設できたものの、ヒヤヒヤしましたね」

 

Case2 起業の理由は、事業拡大と人材育成

株式会社食器プロの渡辺祐二さん

渡辺祐二さんも、食にまつわる事業で2つの法人を設立。現在では、地域活性化や起業支援など、事業内容も拡大していると言います。

「最初の起業は12年前。飲食店はチームで動きますし、多店舗経営をしていきたいと事業を始めているので、それには法人が必要だろうという判断です。

また、2016年3月には、飲食店の仕入れ業務をワンストップ化することをめざして、株式会社食器プロを立ち上げました。アウトソーシングや他社との協業を進めれば、必ずしも社の組織体を大きくする必要はないのかもしれません。けれど会社という場を通じて、人材教育、成長する機会を作れる、という点は大きな意義だと思います。こうした理念実現のためにも、やはり法人格はあったほうがいいのかな、と感じています。

ただ、この食器プロは実は事業譲渡をしていて、私は代表権のない社長。たとえば中小企業庁のものづくり補助金の申請など、国に関係する書類をつくるときには代表印が必要となります。そうなると、グループの本社まで出向くとか、書類を郵送する、といった工数が発生。こうした部分は電子化に期待しているところです」

 

Case3 取引企業との契約のために……

株式会社DaccoDayの中山綾子さん

フリーランス協会の理事でもある中山さんは「必要に迫られて」という、やむなく起業派。

「フリーランスでマーケティング企画やプロモーションの仕事をやってきましたが、協賛費など一部企業との取引では『個人の方からの請求書は受け取れないので、どこかの法人から請求を』と言われることがたびたびあって。知人の代理店を通して対応していましたが、同様のケースが続くなら法人化しよう、ということで決めたんです。

社員を雇用する予定もないですし、どんな名だたる企業でも個人からの請求書を受け取ってくれる社会であれば、私は法人化することはなかったと思います。そこはフリーランス協会ががんばるところですね。

手続きはクラウドサービスの会社設立freeeを利用しました。ガイダンスに従って進めて、一つ一つクリアしていく感じで本当に書類準備はすぐ終わりました。ただ郊外のため、都税事務所が遠方にあり、往復と手続きに4時間かけて行ったりと、あちこち動く必要もあって大変でしたね。電子化は地方での起業にもメリットがあると思います。気分がアガったのは、ベロアの箱に入った代表印や銀行印が届いたときかな。社長だー、みたいな(笑)」

 

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定款策定や申請書類の記入に加え、区役所や法務局、公証人役場に銀行と、あちこちに出向いて手続きをする必要がある起業のプロセス。起業にかかる費用は、登録免許税や印紙税、公証人への手数料などを含め、およそ30万円といわれます。

3人の起業家の体験からは、法人化で得られる信用力、業務拡大力などの魅力と同時に、時間やコストがかかる起業までのハードルもひしひしと伝わりました。

この状況が果たしてどう変わろうとしているのか。次回は、日本がめざす起業環境について、川村さんからオフレコなしのぶっちゃけトーク! 

 

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