第2部は「公益兼業を通じて、どうやって自分を変えていくのか?」をテーマに、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 取締役 人事総務本部長の島田 由香氏がモデレータとなり、パネルディスカッションが行われました。
民間における兼業副業の議論は「終わっている」
まず島田氏から「働き方改革の本質は?」と質問を出され、働き方改革をど真ん中で推進してきた経済産業省 参事官の伊藤 禎則氏は「選択肢を広げることだと思ってやってきた」「タコツボ打破のきっかけ」と熱を込めて語り、「キャリアは自分でつくるもの。会社や人事から与えられるものではない。自分の持ち札が1個しかないと、キャリアを狭めてしまう。それを拡げるために、兼業副業やリカレント教育がある」と説明。「民間において兼業副業をして良いかどうかという議論は、実はもう終わっている。民間ではこれまで就労規則で禁止されていて、それが踏襲されていたが、今年2月にモデル就労規則が改訂されたので、国家意思として副業兼業はOKになっている。それはどういうことかというと、会社と個人の関係が相対化してきたということ」とこれまでの取り組みの意義を強調しました。
また、民間での議論が終わっている一方で「そこに公務員は、僕らは関係ないとは言えないと思う。兼業する、しないというのは選択肢なので、したくない人はしなければよい。ただ、すべきでないと禁止することはどうなんだという議論がある。つまり、大きな働き方改革の文脈の中で、公務員の副業兼業の話が出てきている」とマクロの視点で持論を展開しました。
多忙を極める公務員に兼業副業は可能なのか?
しかし、公務員の現場の話を聞くと、一筋縄にはいかない現状が浮かび上がります。続いてマイクを握った「霞ヶ関ばたけ」という朝の勉強会で代表を務め、農林水産省 林野庁木材利用課に勤める松尾 真奈氏からは「1年目は一度もランチで外に行ったことがなく、帰宅は深夜で陽の光を浴びていなかった。また、霞が関は上司の考えに反することを言えない雰囲気があって、自分がなんで働いているのか意味が分からなくなった」と、苦しい思いをした過去を告白。
その中で「霞が関ばたけという活動で、民間の方と意見交換をさせていただいたり、自分の考えを言えるということがすごくモチベーションになった」と課外活動によって救われたエピソードを紹介した。
NPO側に公務員受け入れのニーズはあるのか?
話題は、NPO側の公務員受け入れのニーズの話になり、会の冒頭で挨拶した小沼氏は「この半年間一緒に伊藤さんとプロジェクトをさせていただいて、魂のようなものを見させていただいた。NPOと公務員が組むって本当にすごいことだと一番肌で感じた」とその意義を力強く語りました。
続けて、「NPOは公務員の力が必要だと心から感じている。NPOは想いを持って現場を知っているが、マクロレベルでどうやったら国が変わるか分からない。公務員の方が入ってくださると、スピード感を持って社会を変えられると思っている。」と説明。「もう一つは、NPOを通じて現場を見て、分かった上で法案のペーパーを書いてもらうとまた違うのではないかという視点から、ぜひNPOの活動に関わってほしいと思っている」と現場に触れることで普段の仕事に還元できるのではないかと持論を展開しました。
<<<第二部:”公益兼業”で自分と社会を変える>>>
◇モデレーター:
・島田 由香氏 ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 取締役 人事総務本部長
◇パネリスト:
・伊藤 禎則氏 経済産業省 参事官
・松尾 真奈氏 霞ヶ関ばたけ代表/農林水産省 林野庁木材利用課
・小沼 大地氏 NPO法人クロスフィールズ 代表理事 / NPO法人新公益連盟 理事
第3部では公務員の副業・兼業・出向・プロボノを歓迎する団体からのショートプレゼンテーションが行われました。当団体も代表理事の平田が、3ポジションの募集について発表させていただきました。
<募集ポジション>
①地方自治体との連携サポート:
地方自治体からの要請で、地方の人材不足解消のためにフリーランスをお試しで活用するフリーランス合宿を実施しています。その企画運営や地方自治体との連携のサポートをお願いしたいです。(プロボノ、週3~5時間程度)
②イベント企画運営サポート:
フリーランス向けキャリア支援を目的としたイベントを月1~3件ほど開催しています。日々寄せられる様々なニーズやテーマに対してイベントを企画しています。企画・運営のサポートをお願いしたいです。(プロボノ、週3~10時間程度)
③新規事業推進サポート:
個人の信用力を多面的に可視化し、与信の仕組みを作るパーソナルスコアリング事業が7月から立ち上がります。関心を持つ多様な企業の期待や課題を取りまとめながら、組織を超えたコレクティブ・インパクトの創出を目指します。実証実験を行うプロジェクトメンバーとしてご協力をお願いします。(プロボノ・兼業・出向など応相談、週3~10時間程度)
ご興味を持たれた方は hr@freelance-jp.org までご連絡ください。
(”@”を半角に変えてお送りください)
Reported by 島崎由真