自分の名前で仕事をしたい人のための非営利支援団体一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 (東京都中央区、代表理事:平田麻莉、以下「フリーランス協会」)は、昨今の物価高騰やインボイス制度導入に備え、フリーランスの報酬適正化を推進する啓発キャンペーンの第一弾として、「インボイス2%~アクション」(読み方:インボイス ニパーアクション)を、本日より展開いたします。
電気代や物価の高騰による賃上げ機運が高まる中、フリーランスの報酬は初回取引時から何年間もずっと据え置かれているケースが珍しくありません。また、2023年10月1日に施行予定のインボイス制度の導入準備に伴い、フリーランスへの一方的な負担のしわ寄せや、消費税転嫁拒否や買いたたき・一方的な契約解除・取引排除など法令違反になり得る契約トラブルが生じ始めています。
当協会は、迫り来るインボイス制度の施行に向けて、一人ひとりのフリーランスが少しでも不安を解消できるように、また、自分にとって最適な選択と備えができるようにという観点で活動しています。そして、契約トラブル防止とフリーランス全体の報酬底上げを目指し、政府や仲介事業者等に対し配慮を求めて参りました。それが「誰もが自律的なキャリアを築ける世の中」をビジョンとする私たちの使命だと考えています。
※ご参考:フリーランス協会のインボイス制度に関するスタンス
https://blog.freelance-jp.org/20230130-17334/
しかし、フリーランス全体の報酬適正化には、より多くのステークホルダーが一丸となって取り組む必要があります。そのため、報酬値上げを必要とするフリーランスや、フリーランスの報酬適正化を応援する企業・団体等に、幅広く啓発キャンペーンへの賛同を呼びかけ、フリーランスの報酬適正化の機運醸成を目指します。また、法令違反防止とフリーランスの報酬適正化のため、さらなる取組みを政府に求めて参ります。
インボイス2%~アクションとは
インボイス2%~アクションは、2023年にフリーランス協会が展開する「フリーランス報酬適正化」啓発キャンペーンの第一弾で、インボイス制度導入に伴いフリーランスが直面している4つの本質的課題(後述)について理解を促し、新たに課税事業者になることを選択するフリーランスが少なくとも2%以上の価格交渉に挑戦できるよう後押しするものです。
「2%」は、免税事業者がインボイス発行事業者になることを選択した場合に、売上に対して新たに納めることとなる消費税額の割合*です。
*インボイス負担軽減措置の2割特例適用時(参考:財務省HP)
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/invoice/index.html
本キャンペーンでは、趣旨に賛同するフリーランスやフリーランスと取引する事業者が、例えば下記のようなアクションを行うことを応援します。
<フリーランスのアクション例>
・取引先に対し、報酬適正化に向けた価格交渉に挑戦する
・取引先に対し、免税事業者のままでの取引継続を交渉する
<フリーランスとの取引を行う企業、または取引仲介を行う仲介事業者のアクション例>
・免税事業者のフリーランスも報酬据え置きで取引継続する
・新たに課税事業者に転換するフリーランスの報酬を値上げする(少なくとも2%以上)
・ステークホルダーに対し、インボイス制度によるフリーランスへの影響について配慮を促す など
※アクション例はあくまで原則・例示であり、本キャンペーンへの賛同は必ずしもこれらのアクションを強要するものではありません。
※賛同企業がいかなる方針を採用した場合においても、一部の個別契約において例外が生じる可能性を否定するものではありません。
一つのアクション事例として、フリーランス協会では、インボイス制度導入を一年後に控えた2022年10月に、事務局メンバーとして活動するフリーランス全員の業務委託報酬を一律5%値上げ致しました。また、事務局メンバー以外で協業するライター・イラストレーター等に対しても、値上げ幅10%強の取引価格改定を行っております。
インボイス2%~アクション賛同企業・団体一覧(キャンペーン開始時点)
株式会社クオリティ・オブ・ライフ、TATEU事業協同組合、株式会社ヒューマン・コネクト、
株式会社ビーブレイクシステムズ、株式会社PE-BANK、株式会社マイナビ、株式会社Waris
※ 2023.2.17現在、賛同企業各社に登録するフリーランスの合計数は62,700名以上
キャンペーン実施の背景となる4つの課題
インボイス制度の導入準備が進行する中で、フリーランスが直面している本質的な課題が4つあります。昨今の急激な物価高騰や賃上げ要請の中で、これらの課題が解決されないままでは、フリーランスへの一方的な負担のしわ寄せや契約トラブルが頻発することが懸念されます。
①免税事業者と発注企業との間に、値付けに関する認識齟齬があること
免税事業者は事業を営み、生活をしていく上で、「消費税納付の必要がない前提で」その仕事を引き受けるか否かの判断や値付けをしている人が多く、消費税分を”益税”と考える税理士や発注企業側の認識と大きな相違があります。税務リテラシーもさまざまであるため、中には自分は免税事業者だから”消費税をもらっていない”認識で値付けしてきた免税事業者も存在します。
②「個人事業者だから」「免税事業者だから」という理由で、消費税転嫁拒否が発生していること
当協会が2021 年に実施した調査では、回答者の24.4%が、これまで売上先から「個人事業者だから」あるいは「免税事業者だから」という理由で消費税の支払いを拒否された経験や請求できていない状況がありました。
※出典:フリーランス協会「フリーランスの消費税の転嫁の実態や請求業務に関する実態調査」
https://blog.freelance-jp.org/wp-content/uploads/2021/10/Freelance-Invoice-Survey.pdf
③インボイス制度導入に伴う消費税転嫁拒否や不当な値下げ、一方的な契約解除・取引排除が独占禁止法や下請法において法令違反になり得ることが十分認知されていないこと
インボイス制度の施行によりフリーランスが不当に不利益を被ることを防ぐため、インボイス制度への対応過程において生じる可能性のある独禁法・下請法での法令違反行為が整理され、注意喚起がなされていますが、十分に認知されているとは言えません。
※参考:財務省「インボイス制度後の免税事業者との取引に係る下請法等の考え⽅」
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/20220119menzeiqa_4.pdf
参考:財務省「免税事業者及びその取引先のインボイス制度への対応に関するQ&A」
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/20220119menzeiqa_2.pdf
④インボイス制度による負担増(売上の2~5%)によって生活が立ちいかなくなるほどの低報酬が一部業界でまかり通っていること
協力団体との意見交換や個別ヒアリング等によれば、出版・放送コンテンツ業界や文化芸術業界等の一部においては、限られた取引需要に対する担い手の多さから、発注企業とフリーランスとの間に著しい力関係の差があると同時に、特定の発注企業への依存度が高い傾向があります。そうした背景から価格交渉力に乏しく、著しく低い報酬でギリギリの生活を強いられているフリーランスが少なくありません。また、そうした業界では「負担増は当然フリーランスが被る・被らなければならない」ということが、発注企業側のみならず当事者であるフリーランスの認識にもなってしまっています。
インボイス2%~アクションへの賛同方法
フリーランスの報酬適正化に一丸となって取り組むシンボルとして、ロゴマークとハッシュタグを設定しました。
キャンペーン趣旨にご賛同いただける方は、フリーランスの報酬適正化に関する啓発や情報提供を行う際に、ご自身のSNSやホームページ等で、ロゴマークやハッシュタグを掲示してください。
<ロゴマーク(2種)>
※参加者は、本キャンペーンへの賛同を表明することにより、ロゴマークの使用権を獲得することができます。ロゴマークの著作権は当協会に帰属しますので、ロゴマークの変更、改ざん、商業的利用はできません。
<ハッシュタグ>
#インボイス2パーアクション
#自分のために #業界のために #みんなで考え動こう #フリーランス報酬適正化 など
参考:インボイストラブル通報BOXについて
当協会では、インボイス制度対応を機に生じた発注者との契約トラブルについて実態を把握し、政府に対策を求めることを目的として、2022年12月22日に「インボイストラブル通報BOX」を開設しています。
インボイス制度対応を機に発注者との契約トラブルが生じたフリーランスの方は、ぜひご通報ください。
インボイストラブル通報BOX https://forms.gle/tEK9Wg56ExoNfybA6
※参考:フリーランス協会「インボイストラブル通報BOX」リリース https://blog.freelance-jp.org/20221222-16901/
▼プレス発表会資料
▼プレスリリース
一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会について
「誰もが自律的なキャリアを築ける世の中へ」というビジョンを掲げ、自分の名前で仕事をしたい人のためのインフラ&コミュニティ。賠償責任保険や弁護士費用保険、所得補償制度、各種優待が使えるベネフィットプランの提供のほか、実態調査に基づく政策提言、キャリア支援、パラレルキャリア推進、ジョブ創出、地方創生など、多様な働き方を志向する人々が安心して働くことができる環境づくりと、新たな活躍の場を広げる取組みを推進している。
会員総数84,142名(フリーランス白書等の実態調査の母集団となる一般会員・無料会員・SNSフォロワー)、一般会員数13,102名、法人会員数266社(2023年1月31日現在)
・法人名 :一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会
・代表理事:平田麻莉
・設立日 :2017年1月26日(同年4月20日に一般社団法人化)
・所在地 :東京都中央区 八重洲2-8-7 福岡ビル4F DIAGONAL RUN TOKYO内
・URL :https://www.freelance-jp.org
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