プロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会

【イベントレポート】ランチタイムセミナー「労働者協同組合について知ろう」

7月19日(水)のランチタイムに「労働者協同組合について知ろう」を開催いたしました。

労働者協同組合とは

厚生労働省雇用環境・均等局勤労者生活課労働者協同組合業務室  水野室長から、労働者協同組合について解説いただきました。

<参考>

●厚生労働省HP:労働者協同組合 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14982.html

●「厚生労働省特設サイト 知りたい!労働者協同組合法」 https://www.roukyouhou.mhlw.go.jp/

●広報誌 「厚生労働」https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202306.html

事例紹介「労働者協同組合こども編集部」

実際の労働者協同組合の設立事例として、労働者協同組合こども編集部の金井様、近藤様よりお話をいただきました。

●労働者協同組合こども編集部 HP:https://kodomo-henshubu.com/
Instagram:#kidseditor2020 ( https://www.instagram.com/kidseditor2020/?hl=ja

Q&Aタイム

セミナー内で参加者の皆様からいただいた質問を掲載いたします。

Q.社会貢献的な事業の場合、全国にメンバーがいる広域的な組織でも労働者協同組合を設立できるのでしょうか。
A.労働者協同組合は、持続可能で活力ある「地域社会」の実現に資することを目的とした事業を行うこととなりますが、ここでいう地域は組合自らが定款で定めることとしていて、全国的な活動でも労働者協同組合の設立が可能です。

Q.非営利事業に限らず営利目的の組織でも大丈夫でしょうか。
A.出資額に応じた配当を行うかどうかで営利と非営利が決まります。労働者協同組合は出資額に応じた配当を行わないことから非営利法人扱いになります。労働者協同組合は労働契約を結び最低賃金以上の賃金を支払うためにも、事業を継続的に実施していくことが大切です。利益を全く得てはいけないのではなく、事業継続のための原資の確保が重要です。

Q.有限責任事業組合(LLP)や合同会社(LLC)との違いを簡単に教えてください。
A.労働者協同組合・有限責任事業組合(LLP)・合同会社(LLC)の主な違いは次の通りです。
労働者協同組合
・法人格のある組織
・持続可能で活力ある地域社会の実現に資する、多様な働き方と地域の課題解決を目的とする
・組合と組合員の間で労働契約を締結する
・働く人の組合であるため法人は加入できない
有限責任事業組合「Limited Liability Partnership(LLP)」
・法人格のない組織
・個人または法人が組合員になれる
・出資者全員の有限責任や経営の柔軟性について労働者協同組合と似通った点がある
合同会社「Limited Liability Company(LLC)」
・定款に掲げる事業による営利の追求を目的とする
・会社と労働者間での労働契約の締結は求められていない

Q.法人税の仕組みについて教えてください。
A.法人税法上、労働者協同組合は普通法人として取り扱われますので、全事業が課税対象です。特定労働者協同組合(より非営利を徹底した組合であると都道府県知事から認定された労働者協同組合)は、概ねNPO法人並み(法人税法上の公益法人等に該当)の税制優遇が受けられるため、法人税法上の収益事業についてのみ課税の対象となります。2023年7月時点で労働者協同組合54法人のうち、4法人が特定労働者協同組合として認定されています。

Q.労働者協同組合の場合、組織時期により法人住民税は課税されますか。
A.法人住民税は課税されます。設立初年度で事業年度が1年に満たない場合でも法人住民税の計算に従って課税されます。労働者協同組合の資本金額や従業員の数に応じて税率が増加しますが、特定労働者協同組合に認定されるとNPO法人と同様の最低税率になります。

Q.兼業・副業などの労働契約について教えてください。
A.労働者協同組合にも兼業・副業の組合員の方が増えています。一般の企業に兼業・副業で雇用される場合と変わりませんが、例えば、労働者協同組合において、週1日で数時間といった働き方の場合であっても、きちんと労働契約を締結し、最低賃金以上を支払う必要があります。

Q.出資金額に決まりはありますか。
A.出資金額自体に定めはありません。
よく聞くケースとしては1万円から5万円です。例えば出資金を500円と低めに設定していると、多くの方が入りやすいメリットがある一方で、継続的な法人運営に支障を来す可能性もあります。そのため、事業計画を決めていく中で継続可能な出資金額をご検討いただきたいと思います。

Q.雇用契約でなく業務委託契約でも働くことはできますか。
A.組合で働く方は雇用契約になります。法人として業務委託の方に外注するケースもあり、その場合は組合員と別の形での業務委託契約が可能です。

Q.組合というと経済産業省の管轄が多いかと思うのですが、厚生労働省が管轄であることの意義と、何か他の組合との違いはありますか。
A.労働者協同組合が厚生労働省の管轄である意義は労働契約にあると考えています。賃金や各種労働関係の法令保護を謳い、労働環境を守りつつ、働きやすい職場を作っていきやすい法人であると思っています。

Q.自治会の運営で、労働者協同組合を活用することはできますか。
A.自治会発の労働者協同組合も生まれています。2022年11月、沖縄県宮古島の狩俣(かりまた)自治会が自治会で初めて労働者協同組合を設立しました。少子化で休園していた幼稚園が再開となり、毎日のお弁当作りが必要となったことから自治会の有志でおこなっていたお弁当作りを労働者協同組合が請け負い、弁当配食サービスとして事業化しています。

Q.組合員は労働の対価と配当の両方を受け取ることができるのでしょうか。
A.労働者協同組合の場合、働いた時間に応じて支払われる最低賃金以上の賃金に加えて、賃金とは別に配当※が支払われる場合があるため、その分も含まれて算出します。

※事業年度末に剰余金が発生した場合、組合内の研修に使用するなど法定の積立金を除いたものを組合の中で使い道を話し合い、配当金として組合員の間で分配することが可能です。この時、出資の金額に関係なく、働いた分量に応じて支払われます。

Q.事業実績が思わしくなく、事業実績として最低賃金を下回る報酬しか払えなかった場合、例えば経営責任を取る形で最低賃金を下回る報酬の支払いは許容されますか。
A.通常の株式会社と同様に事業運営の検討が大事であり、労働契約を締結している組合員に対して最低賃金を下回る賃金を支払うことは法令違反となります。

Q.労働者協同組合とNPO法人等を併用している団体の例を知りたいです。
A.地域で継続して働きたいと退職後の高齢者が集まったボランティア団体が長野にあります。家の修繕のような事業性が高い部分に関しては労働者協組合を設立し、最低賃金をクリアしながらやっているケースもあります。

Q.運営体制の特色を教えてください。
A.定期的な理事会や通常総会開催については、基本的に通常のNPO等と同様です。労働者協同組合の大きな特色は、全員が出資者のためトップダウン型ではなく同等の立場で平等に発言し、意見を反映していく点です。それぞれの法人で意見の反映方法を決めることができ、どう意見を反映したかについては総会において報告する必要があります。労働者がフラットな立場で話し合いながら仕事したいという方には最適な法人格です。

Q.労働契約を締結しない代表理事に対する役員報酬の支払いは可能ですか。また代表以外の理事、組合員ではない監事等に対する給与とは別の報酬に関してはいかがでしょうか。
A.労働契約を締結しない形の役員報酬に関してはその法人で決定します。代表以外の理事や監事についても同様です。

Q.事業立ち上げから間もなく報酬や給料を支払えない場合、初期の立ち上げメンバーの処遇はどのようにしたらよいでしょうか。
A.やり方は様々で、代表理事や役員の形をとり、残りの組合員は雇用契約を締結する形もあります。融資又は組合員による出資、短期的な事業収入などで報酬等を支払うことができる事業計画を立てる必要があります。

Q.相談窓口等はありますか。
A.厚生労働省の労働者協同組合相談窓口をご活用ください。
労働者協同組合相談窓口 
フリーダイヤル0120-237-297 (受付時間 平日09:00~17:00)
また、特設サイトはこちらから 知りたい!労働者協同組合法 Q&A

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