今年10月1日からのインボイス制度開始に備えた関係省庁会議が本日開催されました。
その資料の中から、フリーランスが知っておきたいトピックスをピックアップしてご紹介します。
他のみんなはどうしてる?インボイスの登録申請状況
インボイス登録の累計申請件数は約370万件で、そのうち課税事業者は278万者程度、免税事業者は92万者程度とのこと。
国内の課税事業者総数は300万ほどなので、9割強が申請済み。一方、インボイス登録の検討対象となる免税事業者は160万者ほどいますが(免税事業者総数460万のうち、インボイス登録が不要な農業従事者やBtoC事業者を除く)、そのうち申請済みなのは6割程度です。
免税事業者にとっては、必ずしもみんながインボイス登録するべきということではなく、制度をよく理解し、「登録要否の判断」を適切に行うことが重要である、ということもあらためて説明されていました。
発注者からインボイス登録を要請されている人はどのくらい?
中小企業庁が今年7月に実施した調査結果では、発注者からインボイス登録を求められた免税事業者は13%だったそうです。特に求められないのであれば登録しない、という選択をしている人も一部にはいるかもしれません。
一方で、発注者からインボイス登録を求められた人のうち、インボイス制度開始後に見積もり等に消費税額を反映する値上げを予定している人は20%にとどまり、発注者から取引価格について何も言われていない人が52%と、まだインボイス施行後の取引価格についての対話ができていない人が多い状況がうかがえます。
さらに、発注者から、インボイス登録の求めに応じなければ値下げ又は取引を打ち切ると、一方的に通知された人が7%いました。こうした行為は独禁法や下請法上、問題となる可能性があります。
下請けイジメにNO!独禁法や下請法で問題になるのはどんなケース?
インボイス制度が開始されても、発注者はいきなり免税事業者の仕入れ税額控除ができなくなるわけではありません。一定の範囲で仕入税額控除が認められる経過措置があります。
それにもかかわらず、「インボイス制度施行後も免税事業者のままでいるなら、消費税相当額を値下げします」と一方的に通知することは、独占禁止法違反(優越的地位の濫用)につながる恐れがあります。
公正取引委員会は、独禁法の調査で発注者・事業者の計11万名、下請法の調査で親事業者・下請事業者の計38万名以上に、調査票を発送し、こうした発注者を炙り出そうとしています。
その結果、特に違反につながるおそれのある事例について、7月末時点までに18件の注意が実施されました。フリーランスの取引先と思しき事例としては、イラスト制作業者、ハンドメイドショップ運営事業者、翻訳・通訳の人材派遣業者、電子漫画配信取次サービス業者、カルチャー教室運営事業者、造園工事業者、芸能事務所などが、公取からの注意を受けたそうです。
公正取引委員会では、こうした法令違反の可能性のある事案に関するトラブル相談窓口を設けています。関係事業者からの個別相談に丁寧に対応し、違反行為の未然防止を図るとともに、独占禁止法や下請法に違反する行為には、厳正に対処していくとのこと。
ムムッと思う発注者がいた場合には、お住まいのエリアの窓口にご相談ください。
免税事業者がインボイス登録したら、どのくらいの納税負担が発生するの?
インボイス発行事業者を選択して課税事業者になると、本来は売上総額の5%程度の納税負担(簡易課税制度を適用)が発生します。
ただ、この3年間は、小規模事業者の負担軽減を図るため、納税額を売上税額の2%に軽減する激変緩和措置(2割特例)という仕組みがあります。
その場合、たとえば年間売上が700万円の人が納めることになる消費税は、14万円です。
インボイス登録すると、何か良いことあるの?
IT導入補助金の補助下限額が撤廃になったり、持続化補助金の補助上限額が一律50万円引き上げになったり、インボイス対応や販路開拓のためのサポートが用意されています。
10月1日になっても登録通知書が届かなかったらどうする?今気になるQ&A
「10月1日から登録を受けるためには、いつまでに登録申請書を出す必要があるか?」「(インボイス登録をした場合に)インボイスの交付義務が生じるのはいつの取引からとなるのか?」「10月1日を迎えても登録通知書が届かないが、どうインボイスを交付するか?」など、制度開始を目前として湧き上がってくる疑問についても、Q&Aが公開されています。
疑問を解消したい方は、コールセンターの番号や、説明会・個別相談の申し込み方法が公開されているので、上記のスライドをチェックしてみてくださいね。
インボイス登録はしたものの、何をどうすれば…無料で税理士に相談できないの?
結論から言うと、できます!
中小企業庁が、中小企業・小規模事業者向けに、税理士によるインボイス対応の無料相談窓口を設けています。
電話で申し込みをして、相談日時を調整し、Teamsで税理士にオンラインで相談する形です。
詳しい相談手順は、こちらのサイトからご確認ください。
以上、フリーランスに関係がありそうなトピックスを抜粋でご紹介しました。
他にも、アニメーション制作業界、出版業界、音楽業界、文化芸術業界などについて、業界毎の取組状況に関する情報も載っていますので、ご興味のある方は、ぜひこちらの資料でご確認ください。