こんにちは、ヒラマリです。
12月5日(火)に、内閣府規制改革推進室主催の「第3回 規制改革推進会議 働き方・人への投資ワーキング・グループ」に参加してきました。
日本では、2018年に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の策定と、モデル就業規則の改定が行われて以降、副業解禁が進んでいると言われています。しかし、現在、多くの企業が業務委託型の副業に限って解禁をしており、雇用型の副業はほとんど広がっていません。
現行ルールの課題
その理由は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の中で、雇用型の副業では労働時間通算を行い、後から仕事を振った企業が必要に応じて割増賃金を支払うべき、と定められたからです。会社帰りにコンビニで副業バイトしたいという人がいても、コンビニ店は割増賃金を支払う必要があるため、受け入れるメリットがないのです。(送り出し企業の労働時間管理を簡便にする「管理モデル」も整理されましたが、受け入れ企業にとって労働時間通算と割増賃金が必要であることに変わりはありません)
業務委託で副業を行うためには、即戦力としての相応のスキルや経験が求められるため、副業をしたくても担える仕事や受け入れ先がないという人が多く、副業解禁の背景にあった人手不足問題も一向に解消しないので、ルールを見直すべきという声が出続けていました。
副業をしたくても、できない人が多い理由
今回の規制改革推進会議では、厚労省からこれまでの取組みや現行ルールに関する説明があった上で、私を含む有識者3名から、副業・兼業のメリットや、円滑化のために必要なことについてお話ししました。
私がお話し申し上げた副業・兼業のメリットや事例については、こちらのプレゼン資料をご覧いただければと思いますが、私は昨今の副業・兼業を取り巻く一番の問題は、需給ギャップだと考えています。フリーランス協会のイベントに参加してくださる人の声や、会員増加の傾向を見ても、副業をしたい人は続々と増えています。しかし、副業先がなかなか見つからないといいます。求人ステーションを通じて、副業・兼業人材の活躍の場(受け皿)を広げる活動もしていますが、職種にもよりますが、圧倒的な買い手市場だなと日々感じています。
パーソル総研が今夏に行った調査を見ても、送り出し企業(副業容認率)は増加している。副業したい人もたくさんいる。しかし、受け入れ企業(副業受入れ率)は横ばいで、実際に副業している人(副業実施率)は減る一方です。
なぜ、副業・兼業人材(特に副業人材)の受け入れが進まないのかを整理したのが、下記の4つです。まず第一に、まだまだ副業に対して心理障壁や偏見が経営者も多いことを、企業向けの副業・兼業人材活用推進の講演などに呼ばれる度に、ひしひしと感じています。
また、業務委託型副業の場合、関連法や契約の仕方に関するリテラシー不足や、良い人材との出会い方・選び方が分からないといった声(選び方は雇用の場合とそんなに変わらないのですが)、また、労働者性の判断基準が曖昧であるために、偽装フリーランスを疑われるのが怖くて取引できないという声もあります。(会議の質疑応答の中でもお話ししたように「指揮命令を疑われるリスクがあるからフリーランスとは一緒にトイレに行ってはいけない」という、ちょっとオーバーコンプライアンスともいえるルールがある企業の話を聞いてビックリしたこともあります)
そして、経済界の課題意識の中心でもある雇用型副業については、やはり、労務管理の煩雑さや割増賃金の負担のせいで、雇用型副業の解禁は進んでおらず、受け入れ企業にとってもメリットがない、ということを申し上げました。
とはいえ、労働時間通算や割増賃金というのは、過重労働を防ぐために必要な制度でもあります。送り出し企業、受け入れ企業の双方が納得できて、かつ、働き手である労働者にとっても負担のない労務管理の方法を、しっかり検討していく必要があります。
その方法については、委員であるLINEヤフーの川邊さんからもご提案がありましたので、ご興味のある方は、「規制改革推進室 公式YouTubeチャンネル」から会議のアーカイブ動画をご覧ください。
規制改革推進室 公式YouTubeチャンネル 第3回働き方・人への投資WG
※参考
「第3回 規制改革推進会議 働き方・人への投資ワーキング・グループ」議事次第、その他資料はこちら