こんにちは。ヒラマリです。年が明けてバタバタしていたら、あっという間に年度が変わってしまいました。今年の関東の桜は短かったですね。
さて、毎年3月は、政府のさまざまなところで新たなアジェンダ設定のためのヒアリングが行われる季節です。
もう1か月近く経過してしまいましたが、3月12日は、ライドシェア解禁の議論でも注目されていた規制改革推進会議の、働き方・人への投資ワーキング・グループで、「フリーランス・ギグワーカーの労働者性・保護の在り方について」が議題になり、当協会からも現状と課題をお話し申し上げました。
※会議のアーカイブ動画はこちらからご覧いただけます
▶【LIVE配信】第4回 規制改革推進会議 働き方・人への投資ワーキング・グループ
まず最初に、厚生労働省から、現在の労働関連法における「労働者」の定義や、偽装フリーランスに対する取組み、今年から始まった労働基準関係法制の見直し、今秋から拡大されるフリーランスの労災保険特別加入制度などに関する説明がありました。
続いて私からは、①偽装フリーランス問題、②労働者性の判断基準の曖昧さからくるオーバーコンプライアンスや発注控えの問題、③社会保険などセーフティネットの問題について、お話ししました。
(当日の発表資料PDFはこちらからご覧いただけます)
ここでは抜粋でご紹介しますが、偽装フリーランスについては、大手マッサージチェーン店のセラピストの例もご紹介しながら説明いたしました。当協会では今年2月に「偽装フリーランス防止のための手引き」も公開しましたが、”本人たちが業務委託契約を望んでいるわけではなく、実態としても労働者的な働き方に従事させられているのに、不当に事業者扱いをされて労基法の保護の対象外になっている”偽装フリーランスが疑われる企業・業界に対しては、個別に行政の取り締まりや啓発を強化して頂きたいと切に願っています。
そんな偽装フリーランス問題の一方で、保守的な大企業等におけるオーバーコンプライアンスや発注控えの問題も深刻で、労働者性の判断を分かりやすくして頂きたいというお話も致しました。
また、労働者性の有無にかかわらず、すべてのフリーランスに必要な保護として、ライフリスク(生命・身体のリスク)に備えるセーフティネットの脆弱性の課題を挙げました。ライフリスクは、働き方に関わらずすべての働く人が抱えているリスクですが、会社員とフリーランスのセーフティネットに大きな格差があります。
これは、労働者や被用者の定義をちょっといじって「フリーランスを労働者扱いにすれば良い」というような話ではなく、「事業者であってもセーフティネットに参加できる」ようにすることが大切だと考えています。
それから、トラック運転手の方々が加盟する赤帽連合会さんからも発表がありました。
最後に、東京大学の水町勇一郎先生から、フリーランス・ギグワーカーの労働者性・保護に関する各国の動向の解説や提言がありました。
質疑応答では、私のプレゼン内で、労働者性判断に関する混乱や誤解を助長し、健康管理を建前とした労務管理や、一般健診の費用負担を理由とした発注控え・契約解除を生むのではないかと指摘申し上げていた「個人事業主等の健康管理に関するガイドライン(案)」に関し、委員の方々から多数のご質問を頂きました。
委員の方からもご指摘がありましたが、フリーランス当事者不在の議論で、私たちの取引や取引先との関係性に影響を与えかねないルールが策定されてしまったことは残念ですし、恐ろしいなと感じます。
同じ厚労省でも他の課では細かく丁寧に当事者の声に耳を傾けて頂いていますし、フリーランス新法の厚労省検討会でも「継続的業務委託」の考え方について慎重に議論を重ねてきていたのに、なぜこのようなことに…とやるせない気持ちでいっぱいです。(なお、本ガイドラインを策定した労働衛生課からは、フリーランスを労務管理して良いものとの誤解を招かないようにQ&Aを整理するとの返答が一応あったことを申し添えておきます。)
フリーランスが安心して働ける環境整備をしようという機運が高まっていることは大変有難く、歓迎しています。
しかし、(偽装フリーランスのケースを除けば)いわゆる労使関係と、フリーランスと発注者の関係性は似て非なるものですし、自律的に働くために敢えて雇われる働き方を辞めてフリーランスになったという方もいるので、当事者の声を無視して労働者の論理をそのまま当てはめても誰も幸せにならないですし、同じことが繰り返されるのは絶対に避けていかなければならないなと、意を新たにしました。
そういう意味でも、フリーランス協会は、多様なフリーランスの声を集めて、当事者のニーズや課題、実態をしっかり可視化できるよう、引き続き尽力して参ります。
会員・フォロワーの皆さま、アンケート実施の際には回答のご協力を何卒よろしくお願いしますね!