※8/10追記:大変多くの反響をいただきましたので、保険会社や弁護士に確認の上、フリーランス協会の保険での対応等のQ&Aを文末に追記しました。
フリーランスを狙って、賠償請求を目的とした発注詐欺が横行しているようです。
SNSのダイレクトメッセージ等で、短納期でHP制作やチラシ制作などを依頼したいと問い合わせが入ったので引き受けると、取り交わす契約書内に「納品遅延などで損害を与えた場合は損害賠償100万円を請求する」という記載が入っており、納期内に対応しても品質や仕様の違いなどで因縁をつけられ、損害賠償100万円を請求されたというケースの報告がありました。
契約書を交わす際には、必ず、書面に書かれている内容を慎重に確認しましょう。
賠償責任保険が自動付帯になっている一般会員の方で「フリーランスDB」に連絡先を掲載している方は、狙われる可能性も考えられますので、特に契約条件の確認にご注意ください。
同じようなケースに遭遇した人は詳細お聞かせください。
▼通報先
フリーランス協会 サポートチーム
MAIL:support@freelance-jp.org
お問合せフォーム:https://www.freelance-jp.org/inquiries
Q&A
Q. フリーランス協会の保険で何か対応することは可能でしょうか?
A. 上述のケースは賠償責任保険の補償対象外となりますが、弁護士費用保険が利用できる可能性があります。
1)賠償責任保険(納期遅延による営業損害の補償)
一般会員向けプレミアムベネフィットの賠償責任保険では、納期遅延によって相手方(発注者)に営業損害が発生した場合は、保険の補償対象となる可能性があります。(業務内容や納期遅延の理由によって免責に該当することもございますので、補償をお約束するものではありません。)
一般的な賠償責任保険では物的損傷しか対象とならないことが多い中で、営業損害も補償されるのは、当協会の保険の大きな特徴の一つです。
ただし、補償対象となるのはあくまで「実際に営業損害が発生した場合の損害額」であり、上述例のような、契約によって加重された『懲罰的損害賠償請求』は保険の対象外となっています。(※)
ご自身を護るためにも不用意に賠償責任を加重するような契約を締結しないよう、十分ご留意ください。
※保険のあらましに「保険金を支払わない場合」として「業務の結果を補償することにより加重された賠償責任」「通常の業務の範囲でない行為に起因する賠償責任」と記載あり
2) 報酬トラブル弁護士費用保険「フリーガル」
期限通りに納品したものに対し、こちらの責めに帰すべき事由がないにも関わらず受領拒否や差戻しがなされ、報酬の未払いが生じているとすれば、「そもそも契約不履行は無いので賠償請求には応じない」というスタンスで適切な報酬支払いを求めていくことになります。
当人同士の交渉で埒が明かず、弁護士に相談して内容証明送付や訴訟提起等の法的措置を講じたいという場合、当協会の一般会員の方はプレミアムベネフィットとして弁護士費用保険が自動付帯されています。自己負担0円で最大70万円までの弁護士費用がカバーできますので、フリーガルのコンシェルにご相談ください。
なお、11月1日からのフリーランス法施行により、発注日から業務完了日までの間が1か月以上の継続的業務委託において、フリーランスの責めに帰すべき事由がないのに受領拒否(注文した物品または情報成果物の受領を拒むこと)を行うことは法律で禁止されます。詳しくは公正取引委員会のフリーランス法特設サイトの「③7つの禁止行為」をご確認ください。
Q. このようなケースは刑事事件として立件はできますか?
A. 個々のケースによって状況が異なるため一概に確定的なことは申し上げかねますが、当協会から弁護士に確認したところ、契約書上で損害賠償支払について合意をしてしまっている場合は、刑事ではなく民事上の問題に留まる可能性が高いとの回答でした。(「錯誤取消」を訴えて認められる可能性もゼロではないが、立証はとても難しいそうです)
どんなに酷い条件でも、双方合意した上での話ということになってしまうと、取り得る対策が限られてしまいます。自己防衛のためにも、契約書はサインや押印をする前に必ず、自分の目で隅々まで確認しましょう。
Q. このような問題は何件くらい起こっているのでしょうか?発注者名は分かりますか?
A. 残念ながら今に始まったことではなく、当協会だけでも2年ほど前から度々報告が寄せられております。特定の一社による行いではなく、昔から存在する手法として複数のグループが行ってきているものと推察されますが、オンライン上で見知らぬ相手と連絡を取ることが容易になったことや、フリーランスの裾野が広がってきたことを受けて、被害が増えている可能性が考えられるため、このたび注意喚起の形でお知らせすることに致しました。