報酬トラブル、もう一人で悩まなくて大丈夫。フリーガルで社会を変えたい

私がフリーランス協会を立ち上げる前、フリーランスの仲間たちとどんなことを協会で実現したいかブレストしていて、何度かアイディアとして出たのが「報酬未払い被害をカバーしてくれる保険」でした。2017年1月に協会を設立すると、ニュースを見て1週間で1500人もの方がメルマガ登録してくれました。備考欄には期待や感謝の声がぎっしり書かれていて、驚くとともに身が引き締まりました。そこで、健康保険の問題に次いで多く見られたのが、報酬や契約に関するトラブルや買いたたきの相談窓口や環境整備を求める声でした。

協会設立の報道を見て問い合わせをくださった保険会社4社に作ってもらいたいとお願いしたのも、賠償責任保険と、病気・ケガで休業中の所得保障、出産や介護で休業中の所得保障、そして報酬トラブル対策の保険でした。賠償責任保険と病気・ケガの際の所得補償は、フリーランス協会の一般会員向けベネフィットプランの目玉サービスとして、損保ジャパン日本興亜、東京海上日動、三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保の皆様のご尽力により、設立からわずか半年後の2017年7月にはテストマーケティングを実施、9月から本格提供を開始することができました。

しかし、報酬トラブル対策の保険は、実際どのくらい&どのような被害があるのか、果たしてどんな場合に債権の確定が可能なのか、など実態がよく分からないということで、見送りになりました。(出産・介護のセーフティネットは民間保険ではパイが狭すぎて難しいということで、公的制度で対応いただくよう政策提言に尽力しています)

そんな幻の保険が、協会設立から2年半の月日を経て、遂に、遂に、実現しましたっっ!もう、本当に、とっても嬉しいです。

報酬トラブル弁護士費用保険『フリーガル』提供開始 ~STOP未払い!7割が報酬未払い経験有、4割が泣き寝入り

フリーガルの特長

フリーガルチラシ詳細は募集チラシまたはフリーランス協会ホームページをご参照いただきたいのですが、報酬トラブル弁護士費用保険「フリーガル」には4つの特長があります。

 (1) 簡便な加入手続き
フリーランス協会の公式ホームページを通じてネット完結で、年間保険料5,000円から加入できます。
(2) 無料の電話相談窓口
フリーランスの取引における報酬トラブル防止に向けた契約締結前の事前相談や報酬未払い等が発生した場合の一般的な法律相談を無料で行うことができます。
(3) 弁護士紹介制度
報酬トラブルについて電話相談後、当事者間で解決ができない場合は、損保ジャパン日本興亜より日弁連リーガル・アクセス・センターを通じて弁護士を紹介いたします。
(4) 保険金でサポート
報酬の未払いや支払い遅延、一方的な減額、消費税の転嫁拒否を受けた場合等で、法的対応にかかった弁護士費用を保険金としてお支払します。

◎紛争解決時にお支払いする保険金
下記の弁護士費用を保険金としてお支払いします。
 弁護士費用=相談料・着手金・報酬金 ・手数料 ・訴訟費用 ・その他弁護士が委任事務処理を行ううえで必要な費用

年間保険料 5000円 →保険金額(期間中支払限度額) 50万円
年間保険料 10,000円 →保険金額(期間中支払限度額) 120万円
年間保険料 15,000円 →保険金額(期間中支払限度額) 200万円

一言でいうと、「報酬未払い」「支払い遅延」「一方的な減額」「消費税の転嫁拒否」などに関する弁護士への電話相談や紛争解決(内容証明送付から訴訟まで)にかかる費用を、年間5000~15,000円という良心的なお値段で(自己負担も無く)カバーできてしまうんです。これは控えめに言って、革命では!?

契約締結前の疑問や不安についても、無料でいつでも弁護士に電話相談できるので、これで我々フリーランスもみんな「弁護士に確認させて頂きますので少々お待ちください(`・ω・´)ゝ キリッ」って言えるようになりますね。

報酬トラブルが起こる3つの理由

報酬の未払いや減額、支払い遅延は、残念ながら、「フリーランスあるある」とも言えるメジャーな問題です。メディアで引っ張りだこになっているような売れっ子フリーランスの方からも、実は経験ありますという話はしょちゅう聞きます。

フリーランス協会が実施したアンケートでは、実に7割の回答者が未払い経験ありで、4割が泣き寝入りをしていました。(アンケート調査のタイトルが「報酬未払いの実態アンケート」だったので、回答者が経験者に偏ってバイアスが生じた可能性は否めないのですが、報酬トラブルの詳細を聞いた自由記述回答には、そのリアルな実態が赤裸々に綴られていました。)

このアンケート結果や、様々なフリーランスの方から普段見聞きする話を総合すると、未払い報酬には主に3種類あるように思います。

1つ目は、発注主と音信不通になってしまうパターン。請求書を送っても、メールや電話をしても、連絡が取れずスルーされるケースです。
故意に無視される場合だけではなく、発注主の現場担当者が退職してしまって「会社として把握していません」と言われてしまうこともありますし、出版業界では発注主の倒産により為すすべがなくなってしまうなんて悲劇も。最近はギルドやチームとして受注するフリーランスも多くなってきていて、それ自体はフリーランス協会でも推奨してきたことで良い傾向だと感じているのですが、発注主(ギルドの場合はいわゆる元締め的な人物)が本当に信頼できるかどうかは、きちんと目利きする必要があります。
SNSアカウントしか知らない、メールアドレスしか知らない、という場合はブロックされたら終わりで、なかなか取り返すのが難しいので、事前に発注主の身元を確認しておくことは最低限の防衛策です。

2つ目は、契約を結んでいないパターンです。口約束や電話・チャット等のやり取りだけで済ませてしまって書面での契約を交わしていない案件、心当たりがある人は多いのではないでしょうか。そうすると、支払いの遅延や減額があっても、根拠となる契約書面がないため、言った言わないの議論になってしまいます。(大事なことなので声を大にして言いますが、チャットは、消せます!)
フリーランス協会が2017年10~11月に出版業界の編集者を対象におこなったアンケート調査では、29.3%がフリーランス相手に「発注書、覚書、業務委託契約書などの契約を結んだことがない」と回答しています。(第2回「雇用類似の働き方に関する検討会」発表資料 P.7参照) 出版業界のように日々、沢山のフリーランスと仕事をしている業界では、現場担当者のリテラシー不足や忙殺が原因で、決して故意ではないケースもあります。最近はpastureエクスチームのように、フリーランスへの発注業務を簡易化するマネジメントツールも出てきてますし、しっかりと発注サイドで教育・業務効率化していけば徐々に改善されていくことは期待できます。
しかし、中には相手に悪意があり、巧妙に書面での交付を避け、証拠を残すまいとしているケースもあります。フリーランス側が危機意識を持って、自分の契約書雛形を用意して(忙しさを理由にされにくい)必ず契約書を結んでおく、なんだかんだ理由を付けて結ぼうとしない企業とは取引を断るという心構えが、何よりのトラブル防止になります。

3つ目は、難癖をつけて支払いを拒否するパターンです。仕様書とベースのコードまで書き終わっていた開発プロジェクト、章立ての了承を得て取材も始めていた書籍の企画、あれこれ考えて複数パターン提出したロゴやパンフのデザインなど。「イメージと違った」「予算が下りずプロジェクトが無くなった」「やはり自社で内製することになった」などなど、様々な理由で受領拒否されることがあります。
発注主の期待や事前合意していた仕様要件に満たないクオリティの仕事をしてしまった場合は仕方ないのですが、中には自分が出したアイディアに酷使した企画やデザインを内製や他社で形にされたという話も聞きます。企画フェーズ、実働フェーズなど段階的に契約を区切り、報酬金額や支払い要件を定めておくことがリスクヘッジになります。
さらに悪質性の高いケースでは、社内トラブルの責任をフリーランスに転嫁する、ありもしない損害を訴えるなどで支払いを拒否する事例もあります。貧すれば鈍するとはよく言ったものですが、こうした未払いを起こす発注主は資金繰りに窮している場合も多いようです。零細企業や個人が発注主の場合、自らが売り上げの回収ができず、それを予算の調整弁としていたフリーランスに向けてしまうという、未払いの連鎖も起こりがちです。

(関連記事「謝罪マスターを失った吉本興業からの学びと副業推進の留意点」「吉本興業は下請法の適用外?芸人のギャラは「囲い込みプレミアム」の考慮を」もご参照ください)

実は、私も未払い被害に遭いました

いずれのパターンでも、これまでは殆どの人が泣き寝入りをしていたことでしょう。それは下記のアンケートからも明らかです。

Q2:これまで、報酬未払いが起きた際にどのようなアクションを起こしましたか?(いくつでも)

Q3:Q2「泣き寝入りをした」を選択された方は、どんなことが障害になりましたか?(いくつでも)


フリーランス協会「#STOP未払い 報酬未払いの実態アンケート」2018年12月~2019年1月に実施

専門性に特化して日々研鑽を積んでいるフリーランスにとって、契約周りのことは率直に言って面倒でしかないですし、月額数万円かかる顧問弁護士と契約するのは現実的ではないので、詳しい知識も持ち合わせていなければ、相談できる相手もいません。それは仕方のないことです。

一般的なフリーランスの受注単価は数万~数十万円程度なので、実際に弁護士に相談したり訴訟したりする費用や時間的コストを考えると、泣き寝入りせざるを得ないフリーランスが少なくなかったのは想像に難くありません。フリーランス協会の設立以来、たびたび寄せられる相談やアンケート結果を見て、このままではいけないと強く感じていました。

実は、私自身も過去に報酬未払い被害を経験したことがあります。私の場合は、3つ目の難癖パターンで、非常に理不尽な理由で支払いを拒否されました。お金の問題というよりも、信頼していたクライアントだっただけに、当時はすごくショックで辛かったです。

セカンドオピニオンももらおうと念のため二人の弁護士に相談したところ、いずれも「悪質性が高いので、きちんと戦った方が良い」という意見でした。弁護士費用などの経済合理性だけで考えたら泣き寝入りした方が良かったのかもしれないですが、そうした事案を黙認して、フリーランスはどうせ泣き寝入りするものと高をくくられるのは、社会全体のために良くないと思い、悩みに悩んだ末に、訴訟提起しました。そして、ちゃんと専門家に相談して声を上げれば、報酬トラブルは解決できることを、身をもって証明できました。

…なんて偉そうに言っても、実際は弁護士さんにお任せだったので、私は法廷に様子見がてら1~2回顔を出させて頂いた程度で、殆ど何もしていないに等しいのですが、優秀な弁護士さんがご尽力くださったお陰で無事に解決できて本当に感謝しています。真っ当に生きていれば、このご時世、あらゆるところに履歴が残っていることも実感しました。それは人との信頼関係も含めてです。それにすごく助けられました。

しかし、かかった費用は決して小さな額でなかったのも事実です。これでは、誰もが立ち上がることは難しいだろうとも感じていました。

フリーガルの誕生

報酬未払いの実態アンケート結果を提出してからしばらくして、損保ジャパン日本興亜さんが、いよいよ保険を作れるかもしれないとご提案くださいました。(賠償責任保険の時もそうでしたが、担当者の鈴木さんはフリーランスの課題に親身に耳を傾け、熱い想いと凄まじい調整力で、不可能を可能にしてくれるスーパーマンです!)

実際に報酬トラブルが生じてしまった後の紛争解決費用を、自己負担0円でカバーしてくれるだけでなく、トラブルを未然に防ぐための弁護士への電話相談もいつでも利用できるという画期的なサービスです。

電話ではなく対面で相談したいという方は「ココナラ法律相談」や、フリーランスに不利益のない契約書にしたいという方はAI契約書リスク判定サービス「AI-CON」や契約書ドラフトダウンロードサービス「AI-CONドラフト」など、その他の法務関連ベネフィットプランも併せてご活用ください。

フリーガルの誕生の背景には、フリーランス協会の設立以来さまざまな形で声を寄せてくださった、沢山の人の想いが詰まっています。

フリーガルによって、少しでも泣き寝入りを強いられるフリーランスが減り、それが企業の抑止力にもなるといいなと心から願っています。

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