こんにちは。ヒラマリです。今日は、新公益連盟の合宿で奈良に来ています。
新公益連盟は、ソーシャルセクター版の経団連みたいな組織で、年に1回の合宿では、様々な領域で社会活動をしている人たちが集い、講演やセッションが繰り広げられます。今年もたくさん学んできたいと思います!
インボイス導入の税負担を緩和?!
さて、先ほど報道が出ましたが、インボイス制度導入に伴うフリーランス等小規模事業者の税負担を和らげるため、政府が緩和措置の導入を検討しています。本日から開始された政府税調で詳細を詰め、2023年度税制改正大綱に盛り込まれる予定です。
一つ目は、免税事業者のままでいる人への配慮として、小規模事業者の少額取引に限り、インボイス(適格請求書)がなくても控除を受けられるようにする猶予措置を設けることが考えられています。
小規模業者、インボイスなしでも税額控除 政府・与党(日経新聞)
もう一つは、インボイス登録事業者(課税事業者)になる事業者への配慮として、消費税を新たに納めるときに生じる税負担増を和らげる「激変緩和措置」の導入が検討されるそうです。
インボイス、中小に激変緩和措置 負担増で、23年度税制改正(共同通信)
「インボイス導入へ負担軽減策を検討」 公明党税調会長が表明(朝日新聞)
フリーランス協会では、昨年10月に下記の申し入れを行い、これまで一年間、様々な形で財務省や国税庁とやり取りをしてきました。
たとえばメディアでも報道された5月の政府税調では、インボイス制度の認知や理解の不十分さ、取引先に対して相対的に弱い立場にある中で相手の出方に左右されてしまう状況などについて、理解を求めていました。その他にも、フリーランスに不当な不利益が生じないように、インボイス制度について正確かつ分かりやすく情報発信するために、活動してきたつもりです。
今回の緩和措置について、詳細はまだこれから詰めるということですが、この報道の方向性で、フリーランスのような小規模事業者の負担を和らげる配慮がなされることを、心から期待しています。
適切な納税と環境整備はセット
なお、余談にはなりますが、今月初めに一部報道が出たように、フリーランス新法の法案提出に時間がかかっています。
首相肝いり「フリーランス新法」暗礁 「権利主張するなら義務を」自民から反対相次ぐ(朝日新聞)
当初の予定よりも調整に時間がかかっているだけで、政府は引き続き法制化に強い意欲を見せていますし、「暗礁」というのは言い過ぎだと思いますが、実際問題として、今国会で法案提出されたとしても成立までは間に合わず、来年の通常国会に持ち越される可能性も出ています。
その背景として、フリーランスにも多様性がある中で、定義の曖昧なままあらゆるフリーランスを保護するという現在の方向性に懸念を示す声が与党内で出たのは事実のようです。記事でも書かれているように、フリーランスの一部には納税意識が低い人もいるのではないか、そうした人たちをどこまで保護すべきなのか、という議論もあると聞きます。
フリーランス協会としては、今年3月に発表した「フリーランス白書2022」の中でも示しているように、
・フリーランスの半数以上が、月1回以上の頻度で記帳しており、全く記帳していない人は5%にも満たないこと
・フリーランスの半数以上が、マイナンバーと確定申告情報の連携を歓迎していること
・フリーランスの4割が、インボイス登録事業者になる方向で検討していること
といったデータに基づき、フリーランスにも納税意識があるということを説明してきましたが、フリーランス新法や、別途議論されている「働き方に中立な社会保険」を実現していくためにも、引き続きみんなでしっかり記帳や納税という事業者の義務は果たしていけたらなと思います。
(もちろん、インボイス事業者になるもならないも、個人の自由なので、必ずしも課税事業者にならないといけないということでは決してありません。免税事業者のままでいるという選択も全然アリです。)
引き続き頑張ります
フリーランス協会では、インボイス制度導入による混乱や不当な不利益が生じないように引き続き政府の対応を注視して参りますし、フリーランス新法が良い形で成立するよう粘り強く活動して参ります。
また、インボイス制度導入に伴い課税事業者になる人が、取引先に価格交渉できる機運づくりにも、これからもっと注力していきたいと思います。これまで免税事業者の益税の恩恵を受けてきたのは、フリーランス自身ではなく、益税を織り込んで発注額をディスカウントできていた発注者なので。ちゃんと適正対価を払わなければ、優秀な人材は手に入らないということを、発注者側にも理解していただく必要があると考えています。