プロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会

フリーランス新法に関する記者会見を行いました

おはようございます。ヒラマリです。

本日の参議院本会議で、フリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)が成立する見通しです。

それを踏まえて昨日の午後、厚生労働省記者クラブで、記者会見を行いました。早速いくつか記事も出ています(文末に貼っておきます)。

 

間もなく成立が期待されるフリーランス新法は、私たちフリーランスみんなで勝ち取った法律です。

フリーランス協会としても、あらためて記者会見資料を作りながら振り返ってみれば、まだ設立した直後でn数が超少なかったものの「編集者に対するアンケート」(2017年)、「未払い報酬に関するアンケート」(2018年)、「フリーランスの契約トラブル実態調査(フリーランス白書2020掲載)」(2019年)、「コロナ禍でのフリーランス・会社員の意識変容調査」(2020年)、「コロナ禍による影響調査(フリーランス白書2021掲載)」(2020年)と、さまざまな角度からフリーランスのトラブル実態の調査を重ね、機会あるごとに政府やメディアに皆さまの声を届けてまいりました。
政府からのヒアリングにも、これまで本当にたくさんの、さまざまな職種の会員の方にご協力いただきました。他のアニメ業界や出版業界、俳優業界、フードデリバリー業務等の団体の皆さんも同様にヒアリング対応されてこられたと思います。

多くのフリーランスが声をあげて、その小さな声が集まり大きな声となって届いた結果、こうして新たな法律が実現したのです。あらためて、声を届けてくださった皆さまに感謝申し上げます。

 

フリーランス新法ができると、これまで「フリーランスあるある」と言われていたトラブルも、泣き寝入りが当たり前ではなくなります。

契約条件を教えてもらえないとか、未払い・支払い遅延に対しても、「法律で決まっていることなので…」と言えるようになるのは大きいですよね。(契約条件明示や、納品後60日以内の支払、契約解除1か月前の事前告知などが義務化されます。一方的な減額や買いたたきなども禁止されます。)

「聞いてた内容と違うんだけど…」といったトラブルも、契約条件の合意の記録さえあれば、弁護士に相談して早期解決できる余地がかなり広がります。(加えて、行政指導や勧告、罰則等のオプションもあるのも心強いです。)

 

ただ、法律が成立すれば良いというものでは決してなく、この法律もフリーランス・トラブル110番も、私たちフリーランス一人ひとりが自己防衛のための「印籠」や「盾」として使っていかなければ意味がありません。

つまり、「これは自分に関わる法律だ」と自分ごととして認識し、アンテナを張ってしっかり理解しておくことが大切です。

フリーランス協会ではこれからも、なるべく分かりやすく情報発信していくことに努めますので、ぜひメルマガ・SNSにご注目くださいね。

また、フリーランス新法はまだ骨組みができただけで、具体的な指針はこれから定めていく段階に入ります。ディテールが重要な部分がたくさんあるので、引き続き当協会としても率直な声を上げ続けたいと思います。

 

まぁ、本当は禁止行為を単発取引にも適用するとか、食い下がったけど叶わなかったこともいくつかありますが、過度な規制で「発注控え」が起こったら本末転倒なので、そういう意味では絶妙なバランスが取られているのでしょう。まず一旦はこれで着実に法令遵守されていくことを目指したいなと思います。
(さんざん言いたいことは言わせてもらって、立法のプロたちが喧々諤々の議論をしてくれた結果、落ち着いたのがこの形なので、ベストではないかもしれないけどきっとこれが今できる最良のベターなんだろうと受け止めています。とりあえずここを起点として、前進あるのみ!)

他にも社会保障とか偽装フリーランスとか仲介事業者とかいろんなテーマはありますが、そもそも「会社員」と同じくらい多様な課題や職種を含む「フリーランス」の問題をたった一つの法律だけで解決しようというのも、大雑把すぎる気もします。

取引適正化についてはまずは大きな第一歩ということで、当協会としては大いに歓迎し、分かりやすく説明していくことに努めてまいりたいと思います。

記者会見の内容

私からは、立法の背景となったフリーランスの契約トラブルの実態、フリーランス協会が政府に立法を働きかけてきた経緯やその中で特に心を砕いたポイント、法案の概要、フリーランス新法成立後も当協会として引き続き取り組んでいきたい課題について、お話ししました。

また、2018年から2020年まで経産省の人材政策室(当時)に出向してフリーランス関連政策を担当されていた頃からお世話になっており、現在はフリーランス・トラブル110番で相談対応に当たっている第二東京弁護士会の堀田陽平弁護士にもご同席いただき、フリーランス・トラブル110番に寄せられる相談事例と、新法の影響について解説いただきました。

◆会見資料:フリーランス新法への期待と課題(フリーランス協会 平田)

◆会見資料:フリーランスの取引トラブルの実状とフリーランス新法の影響(堀田弁護士)

◆特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案(内閣官房HP)
 概要
 https://www.cas.go.jp/jp/houan/230224/siryou1.pdf
 条文
 https://www.cas.go.jp/jp/houan/230224/siryou3.pdf

◆掲載記事

フリーランス新法への期待と課題 ほぼ社員?でも労基法対象外の人も(朝日新聞デジタル)

「フリーランス新法」成立後も残る課題 育休給付金ゼロ、偽装請負…フリーランス協会が法案の意義を説明(弁護士ドットコム)

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