プロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会

株式会社の代表者住所の一部非表示化に向けた改正案と意見募集について

2023年12月26日から、株式会社の代表者住所の一部非表示化に関する、商業登記規則等の改正省令案の意見(パブリックコメント)募集が始まりました。

法人登記において代表取締役の住所が晒されている問題については、これまで何度も議論にのぼってきたものの、一部界隈からの根強い反対もあってなかなか是正されず、2022年9月にも是正されるかと思いきや直前で方針転換された経緯があります。

せっかくまとまった改正案を実現するためには、きちんと当事者・関係者から意見が出されることが大事です。
法人登記をした、または検討したことのあるフリーランスの皆様におかれましては、こういうことが怖い、こういう嫌な思いをした、こういう理由で法人化をやめた、など、リアルな声を出していただければと思います。

また、原案の問題点が一つだけあります。
改正が適用されるのが株式会社のみ、ということです。

これに対し、NPOや一般社団法人などのソーシャルセクターから強い批判が出ています。フリーランスの中にも、これからソーシャルイシューの解決を目指し、NPOや一般社団法人としての法人化を検討する人もいるはずです。
株式会社に限らず、幅広い法人格において安心して法人登記できるよう、声を上げていただけますと幸いです。

改正案とりまとめの背景

今年5月、フリーランス協会は、クリエイターエコノミー協会ら5団体と連名で、「法人登記の代表取締役の個人情報保護に関する提言書」を提出しました。

現在の法人登記の制度では、代表取締役が自宅の住所まで公開しなければなりません。

しかし、代表取締役の自宅の住所まで公開される結果、知らない人間から自宅に郵便物が送られてくる、知らない人間が自宅に来る、インターネット上に自宅の住所が晒される等の問題が発生しており、本人のみならず同居している家族にも被害が生じるおそれもあります。また、一度、インターネット上に自宅の住所が晒されてしまうと、コピーサイト等が作られ、SNS 等でも拡散される結果、それらを全て削除することは事実上不可能となります。

フリーランスにとっては、個人事業主としてのキャリアの延長線上に法人成りという選択肢が浮かぶことがありますが、このようなリスクから法人成りのハードルは高く、スムーズな事業成長を阻害してしまうことがあります。

一人ひとりの事情によって、個人事業主と法人成り、どちらが良いかは当然異なりますが、プライバシー侵害が足枷となって選択が妨げられることのないよう、法人成りに挑戦したい全ての人が安心して登記できるようにしていきたいという想いで、クリエイターエコノミー協会さんのリーダーシップと共に、提言書を提出いたしました。

改正案のポイント

提言書の提出後、与党内で様々な検討が進められ、このたび、

一定の条件の下、
登記情報に公開される株式会社の代表取締役などの住所について、
紙の登記とインターネット上の取得サービス(登記情報提供サービス)で取得できる登記の両方において、
行政区画(=市町村や東京都の23区)までに限定(一部非表示化)することができるようにする

という形で「商業登記規則等の一部を改正する省令案」がまとめられ、公開されました。

「株式会社の」と限定されている理由は、今回の改正案だと、NPOや一般社団法人などほかの法人格の登記における代表者の住所は一部非表示の対象から漏れてしまうからです。

意見の出し方

改正案は出ましたが、前回のように直前で覆らないようにするためにも、改正に「賛成」の声を上げてください。

意見の提出方法

意見提出フォーム、郵送、電子メールがあります。
電子メールの場合、宛先・件名の指定があり、テキスト形式のみ受け付けています。

詳細は、こちらの意見募集要領を参照してください。

必ず書かないといけないこと

「改正のどの部分についての意見なのか」「賛成・反対する場合はその理由」という意見のほかに、
住所(市区町まででOK)・氏名・年齢・職業
(差し支えの場合は、一部省略可)
を記載する必要があります。

改正案の該当箇所

今回は、以下の部分についての意見が多くなるかとは思っています。

商業登記規則31条の3第1項「登記事項証明書又は登記事項要約書に、当該住所につき行政区画以外のものを記載しない措置(以下この条において「代表取締役等住所非表示措置」という。)を講ずるよう申し出ることができる。」
商業登記規則31条の3第2項「登記官は、前項の申出があつた場合において、当該申出が適当と認めるときは、代表取締役等住所非表示措置を講ずるものとする。」

という部分

紙の登記で、住所表記を行政区画(=市町村や東京都の23区)までとすることができるようにするもの


電気通信回線による登記情報の提供に関する法律施行規則第1条第1項 二の二「同規則第三十一条の三第二項の規定による代表取締役等住所非表示措置が講じられることとなるもの」

という部分

インターネット上の取得サービス(登記情報提供サービス)で住所表記を行政区画(=市町村や東京都の23区)までとすることができるようにするもの

期限

2024年1月25日(木)までです。

詳細

「商業登記規則等の一部を改正する省令案」に関する意見募集
を参照してください。

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