今春、発足したばかりのフリーランス協会東海HUB。2019年4月24日は、そのキックオフイベントとして「もっと自由で楽しく!これからの『はたらく』を語ろう!」を、株式会社オカムラが運営するOpen Innovation Biotope “Cue”で開催しました。
生き方やはたらき方を考える
当日は、フリーランスとしてはたらく人、フリーランスやパラレルキャリアに関心のある会社員、公務員、学生など、幅広い層の方がご参加。
自由で楽しいはたらき方を実践する二人のゲストの話を聞いたあと、参加者同士が自分たちの生き方やはたらき方を考える時間を設けました。
イベントの冒頭では、株式会社オカムラの久岡伸功さんが、新たなはたらき方を模索する「WORKMILL(ワークミル)」プロジェクトや協創空間Cueをご紹介。今回のようにご協力いただける企業が地域にあるのは、次世代のはたらき方を模索していく上でとても心強いことです。
続いて、ゲストのお二人を迎えてトークセッションへ。
一人目のゲストは、岐阜県恵那市を拠点にデザインや事業企画・運営などフリーランスで多彩な活動を展開する園原麻友実さん。
もう一人は、会社員として勤務しながらプロボノでプロサッカーチームのPRに携わっている児玉智洋さん。
ファシリテーターは、名古屋産業大学准教授の今永典秀先生。大学の先生になる前は、会社員として市民活動団体の設立・運営を行うなど、パラレルキャリアの実践もされていた方です。
ゲストのお二人それぞれの自由で楽しい「はたらく」のお話
児玉さんの活動紹介
「サッカーが好きすぎて、サッカーに関する活動を何でもいいからしたかったんです。そこで、FC岐阜の代表とつながりのある知り合いに紹介してもらい、勝手に『こうしたらどうでしょう!』と提案したのが始まりでした」と語る児玉さん。プロボノでFC岐阜の広報やサポーター増加のための取り組みを担当されています。
今まで、FC岐阜の来場者数や売り上げの分析をしたり、他クラブの事例を参考にしながら、SNSの運用を改善してきたそうです。
今シーズンも、クラブのパートナーとして、小学生や大学生に向けたPR戦略を立て、YouTubeのコンテンツ制作や大学生と連携したイベント企画などに取り組んでいるとのこと。
ボランティアながら、一定の実績を上げてこられた児玉さんのプロ意識は刺激的でした。
普段は会社員として勤めながら、プロのクラブ運営に関わる道を自ら切り拓いた児玉さん。パラレルキャリアの魅力を次のように語っていました。
「一緒に活動する大学生とつながりができるなど、活動を通していろいろな人と知り合い、自分の幅が広がっているのを感じます。普段の仕事でイベントを企画することはないので、この活動での経験が、逆に仕事で面白いアイデアを生み出す力になっています」
園原さんの活動紹介
好きな着物に関わる仕事や、カンボジアで学校をつくるボランティア、地元の自動車部品工場での品質管理など、高校を卒業してから、さまざまな仕事や活動を経験してきた園原さん。
生まれ育った地域に興味を持ったのをきっかけに、恵那のまちづくりに関わる「NPO法人えなここ」の活動に関わり、地域情報を発信するWebマガジン『おへマガ」』の編集長として3年間務めました。
「着物のネット販売をしたり、Web制作やデザインを学んだり、情報発信は好きでしたけど、記事なんて書いたことなかったんです。それでも編集長はできるんだって知りました(笑)」と振り返ります。
「えなここ」での活動を通して恵那でたくさんの人とのつながりをつくり、2018年にNPO法人から独立。現在は、フリーランスでのWebの制作・コンサルティングのほか、岐阜県のNPO法人での週1兼業、一次産業を支援する一般社団法人の活動など、取り組みは多岐にわたります。
ご自身の悩みでもあった蓄膿症がどくだみで改善された経験から、どくだみ茶のネット販売を始め、全国から毎日のように注文があるという話には、参加者のみなさんから驚きと笑いが!
さらに今は、「空き家を使ってカフェをしたい」と地域の方の相談を受け、開業に向けたマネジメントに従事しているそうです。
「よく『好きなことを仕事にしていていいね』と言われるけれど、自分が好きなことをしているというより、目の前の人の『こうしたい』という思いを一緒に実現するために動いているだけです。また『本業はなんですか?』とよく聞かれますが、本業と言えるものが必要なのかな?って最近思います」
今永先生からの質問タイム! 二人の考えを深掘りします
お二人の活動紹介が終わると、ファシリテーターの今永先生の深堀りがスタート。やりとりの一部を抜粋します!
今永先生 園原さんは、次々にいろいろな活動をされていますが、次はこうしたいっていう近い未来のビジョンはありますか?
園原さん 今、町家をリノベーションしてシェアカフェをつくっていて、そこは一日から店主になれて、誰でも小さな生業をスタートさせられる場にしたいんです。カフェができたら私自身も店舗に立つ経験をちゃんとするつもりです。商品や場があることで、直に人につながることができる。ウェブや発信や商品などいろいろなご相談をいただいていますが、その経験がこれからに必ず活きてくる。今はそういうステージなんだと思っています。
今永先生 児玉さんは、忙しくないんですか? 仕事や家庭もある中で、活動の時間を捻出するコツとかあるんですか?
児玉さん 仕事というより、レジャーの延長線上という感覚があります。サッカーの試合を見に行って、そこでパソコンを開いて考えることもありますから。平日、帰ってから資料をつくる時間も楽しくて、充実していますよ。クラブとフラットな関係で活動させてもらえているので、制約なく自分の考えるチャレンジができていると思います。パワポの使い方はうまくなって、仕事でも役立っていますよ(笑)
今永先生 フラットにやるって、そうできたらいいなって思いますが、そこまでの関係を築くのは大変だったのではないでしょうか?
児玉さん はい。確かに最初は「君は誰?」って感じでした。でも、サッカーは好きだったので、毎試合足を運んでお話ししたり、次第に距離が縮まって、信頼してもらえるようになったのかなと思います。一歩一歩ですね。
まとめ
経験がどのようにつながっていくのか、仕事をしながら自分の好きなことでキャリアを積むための心の持ちよう、やりたいことを実現するまでの道のり。
イベントのテーマでもある「自由で楽しいこれからのはたらく」を考えるヒントをいくつもいただきました。三人のやりとりを、参加者のみなさんも真剣に、時に微笑みながら聞いていたのが印象的でした。
トークセッションのあとは、参加者のみなさん同士の交流タイムへ。児玉さん、園原さん、今永先生も交えて、賑やかに交流や意見交換がされました。交流タイム後半にはネットで東京とつなぎ、フリーランス協会の事業について平田代表よりご紹介する一幕も。
以上、順調にスタートを切ったフリーランス協会東海HUB。
東海エリアでの多様なはたらき方、生き方を実現するお手伝いができればと考えています。ぜひ今後の企画、取り組みをチェックしてください!
登壇者
児玉 智洋:
新卒でスポーツメーカーに入社し、サッカー事業のマーケティング、営業を経験。転職をして、現在は人材業界にてキャリアアドバイザーとして就業中。「日本のサッカーを世界一に、そして日本を元気に」という志のもと、2018年シーズンからプライベートの時間を利用して、岐阜にあるプロサッカークラブにプロボノとして関わっている。2018年シーズンは「SNSの有効活用」をテーマにコンテンツ精査や、効果検証、キャンペーン企画などの提案を実施。2019年シーズンは、小学生を対象とした「YouTube企画」と大学生を対象とした「大学生による大学生向けのコンテンツ企画」の提案を実施中。
園原 麻友実:
岐阜県出身。着物会社(EC事業部)、自動車部品工場、まちづくりNPO職員を経て、2018年にフリーランスに。基本的には、地域で思いを持ったプレイヤーの方と一緒にプロジェクト化して、企画〜PR〜実施(たまにデザイン)、コーディネートを担当しています。現在は、岐阜県の移住促進、農家のブランディング支援、恵那の森のPR、城下町でシェアカフェの設計などなど。NPO法人G-netで週一兼業中。他には、どくだみ入りのお茶だけを売るネットショップを細々と運営中。カフェのオープン準備に追われる日々を過ごしています。
ファシリテーター
今永 典秀:
1982年1月1日生まれ。名古屋産業大学現代ビジネス学部准教授。大手信託銀行で7年勤務し地元へUターン転職。トヨタグループ経営企画で名古屋駅前まちづくりなどへ従事。並行して大学院で学習し、市民活動団NAGOYA✖︎FOREVERを設立。勤務外にボランティアで大学生と社会人が一緒に活動する座談会や勉強会を企画。パラレルキャリア活動の結果、2015年より岐阜大学教員として次世代地域リーダー育成プログラムを実施。