フリーランスの魅力の一つは、自分で自分のキャリアをデザインできる自由度の高さ。こちらのブログでも、今後、多様なロールモデルをご紹介していきたいと思います。第一弾は日本を飛び出しドイツで働くことを選んだエンジニアの所さんにお話を伺いました!
Q1.そもそも日本でフリーランスだったときは、どんな仕事をされていたのですか?
Webプログラマーとして、主にベンチャー企業での開発案件を請け負っていました。数ヶ月単位の短期プロジェクトをコンスタントにこなしていた時期もあれば、長期的に開発チームへ参画していたこともあります。いわゆる受託開発はあまりせずに、 主に自社でプロダクトを持っている所に直接入り込んで開発を担っていたことが多かったです。
基本的にオフィスに常駐するスタイルを好んでいましたが、プロジェクトによっては フルリモートで開発していたこともありました。 また、メディアへ技術的な記事を寄稿したり、 プログラミング教育サービスでの技術アドバイザーや エンジニア向けスカウトサービスで技術的な問題の作成を担当したこともあります。
(僕のサイトにもある程度まとめています→) http://ctokoro.me/
Q2.なぜ、突然ドイツのベルリンへ行かれたのでしょうか?
以前から海外で暮らしてみたい、海外で仕事をしてみたいとずっと思っていました。 特に英語ができるようになって海外からの仕事もこなせるようになれば 大きくキャリアを広げられると共にリスクヘッジにもなると考えていました。 一方で、いつ・どこにということは明確ではなかったのですが、 仕事関係の友人がベルリンに旅立って行ったのを見て 「これは僕にもできるのでは?」と思ったのが直接のきっかけです。
海外に行きたいと思った時にほぼ間違いなくぶつかる壁がビザだと思うのですが、 ドイツと日本はワーキング・ホリデーの協定があり、僕が30歳ギリギリで 取得可能だったのも「今だ!」と思う重要な要素でした。 ベルリンを選んだのは、IT系のスタートアップが盛り上がっていて 英語で仕事ができる環境らしいと聞いたからです。これは実際にそうでした。
(僕たち夫婦についてご取材いただいた こちらの記事も参考になるかもしれません→) エンジニア&ウェブデザイナー夫婦が30代を前にした決断とは | BUSINESS INSIDER JAPAN https://www.businessinsider.jp/post-33528
Q3.ドイツに行く前に、インドなどへも行かれていたようですね。 ドイツまでのルートを教えてください!
出国してからはまずインドに行き、ダラムサラというインド北部の ヒマラヤ山脈の麓にある山間の街で1ヶ月ほどヨガと インド音楽のレッスンを受けました。 レッスン中は毎日決まったスケジュールに従っていて、 朝早く起きてヨガ、日が暮れたら早めに就寝という生活で、 禁酒禁煙・菜食主義も実践しとても健康的な生活を送りました。 ダラムサラのあとは、先生家族と一緒にシク教の聖地アムリトサルや タージ・マハルで有名なアーグラ、ヒンドゥー教の聖地バラナシを周遊しました。 インドを出た後は友人に会いにモルディブにも少し寄り、 トータルで約2ヶ月ほどの旅をしてからドイツに着きました。
Q4. 今は、現地企業で社員として働かれているんですよね。 仕事はどのような縁で決まったのですか?
住み始めて約3ヶ月経った頃から本格的に仕事を探し始めたのですが、 面接は当然英語ですし採用プロセスや聞かれることも日本と違いが多く、 なかなか選考に通らず苦戦していました。 そんな中で参加したプログラマー向けミートアップにて、 飛び込みで自己紹介と仕事を探しているという内容の発表を行い、 その場で声をかけていただいた会社に結果的に決まりました。 プログラマーは仕事が見つけやすいとよく聞きましたが、 そうはいっても現地でのキャリアがなかったり 言語が不自由だったりするのはハンデなので、 競争率が高い正面突破だけではなく、 こういった飛び道具的なことを行うのもありなのではと思います。
Q5.ドイツはフリーランス用のビザもあると聞きましたが、 なぜ今まで続けてきたフリーランスではなく社員の道を選んだのでしょうか?
たしかにドイツにはフリーランスビザが存在し、 取得も難しくないという話も聞いており、 今まで通りのフリーランスも検討しました。 こちらでフリーランスとして活動されている方も何人か知っていますし、 フリーランスで仕事を見つけることも可能そうでした。 ですが、社員になればEUブルーカードという優遇ビザの取得が可能だったことと、 まずは新しい環境に慣れる必要を感じたのでより落ち着きやすい環境を優先しました。
また、こちらの職場環境や仕事の雰囲気がどうなっているのかに興味があったので、 あくまで外部の人であるフリーランスよりも、 とりあえず社員として内部から見てみるのはありだと思いました。 ドイツは社員の残業が少なくて有給休暇が多く、 フリーランスと比べても(社員で働いたとしても) ワーク・ライフ・バランスがそこまで劣らない、というのも後押しした理由でした。 一方で、将来的にフリーランスに戻ることも、もちろんあり得ます。
Q6.実際に現地で働いてみていかがでしょうか?
多様性があるのがとても楽しいです。 僕が今働いている会社は250人程のスタートアップで50カ国以上の人が働いていて、 例えば僕のチームだけでもフランス人・ドイツ人・ブラジル人・ブルガリア人、 リモートでスペイン人・ポーランド人と国籍がまるでバラバラです(笑)。 今の会社はベルリンが拠点なのですが、グローバルにサービス展開しており、 例えば多言語対応を行う際にも社内に大体ネイティブがいるので、 細かいニュアンスを確認するのもすぐにできます。 社内はいい人が多くて、個人的に今の会社はかなり気に入っています。
また、意外と日本で経験したやり方でも通用するものがあると感じました。 例えば、アジャイル・スクラムといったプロジェクトの進め方は 日本で経験したものととても似ているものでした。 そもそもスタートアップはアメリカ・シリコンバレーがやはり中心でその影響が強く、 もしかしたらスタートアップでの仕事の進め方は国が違っても けっこう似ているのかもしれません。
もちろん日本と違うこともたくさんあり、毎日が新鮮です。 ちなみに、残業が少ないのも長期休暇が取りやすいのも本当で、 同僚がバケーションで何週間もいなかったりするのは普通です。 ワーク・ライフ・バランスはかなり良いと感じます。 とはいいつつ、特に最初は英語で話していることがわからなかったのはかなり大変で、 毎日めちゃくちゃ疲れました。
Q7.今後、挑戦してみたいことがあれば、教えてください!
まずは、英語をしっかり鍛えたいです。ミーティングで議論になるとみな早口で ついていけないことも多く、悔しい思いをすることが多いです。 いつか海外のカンファレンスでも発表できるようになりたいと個人的には思っています。 ベルリンはヨーロッパでちょうど真ん中あたりでどこに行くのも行きやすいので、 プライベートでは休みを利用して妻とヨーロッパのいろいろな都市に行ってみたいです。 また、趣味でインド音楽を続けているのですが、いつかアーティスト活動に 挑戦してみたいと思っています。
Q8.最後に、海外で働きたいと思っているフリーランスやプログラマーの方へ、 一言お願いします!
ぜひ、挑戦できる時に挑戦した方が良いと思います。 人生の中で挑戦できる時期は長くないのではないか、と個人的に思っています。 また、特にプログラマーは他職種に比べて かなり海外に行きやすい状況にあるのではないでしょうか。 海外でも人手が不足していて需要があり仕事は探しやすいはずですし、 プログラミング言語は世界共通なので言語がわからなくても コードでなんとかできる可能性があります。 実際、何を言ってるのかわからなくても コードを見れば言いたいことがわかるときもあります(笑)。
僕のようにまずは飛び込んでみるというやり方だけではなく、 周りを見ていると日本にいる時に仕事を決めてから来る人もいますし、 まずは語学学校に行くという人もいますし、様々なやり方があります。 僕もまだまだ挑戦中ですが、今のところこちらに来てよかったと思っています。 後悔のないようにやってみてください!
【編集部より】
所さんの働く場所を自ら選び取っていくスタイルに共感された方も多いのではないでしょうか?私たちフリーランス協会も、時間・場所にとらわれない働き方や、フリーランスと社員をシームレスに行き来するような働き方が社会のスタンダードになっていくよう発信を続けたいと思います。