プロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会

「弁護士が教える! フリーランスのための法律知識」〜わが身を守るために必要な“契約書の知識”って?〜

フリーガル誕生記念イベント

取引先との報酬未払いのトラブルを経験しているフリーランスはどのくらいいるかご存じでしょうか?
実は約7割のフリーランスが経験者であるという調査結果が出ているのです!(フリーランス協会「未払い報酬に関するアンケート」より)

だからこそ大切なのが「法律を味方にすること」

フリーランスが仕事を受けるときには、会社員と違って、契約書を取り交わしたり、報酬を受け取ったりする場面で、様々な法律がかかわってきます。
2019年9月13日に、フリーランス向け報酬トラブル弁護士費用保険「フリーガル」が誕生したことを記念して、フリーランス協会では、法律トラブルに関するセミナーを開催しました。

その名も、「弁護士が教える!フリーランスのための法律知識」

現役弁護士の先生方から、契約締結時や取引中のチェックポイントを解説いただきました。ここでは、そのイベントの様子をレポートします!

どうしてフリーランスに法律知識が必要なの?

今回イベントに登壇してくださったのは、東京弁護士会中小企業法律支援センター弁護士の小西麻美さんと古賀聡さん。
日ごろから中小企業や個人事業主の相談に乗っている先生たちから、トラブルになりやすかったり、知っておくと得したりする、“フリーランスに必要な法律知識”を特に選んでお話しいただきました

そもそもなぜフリーランスが法律関係を知っておいたほうがいいのでしょうか? 小西さんは、フリーランスにありがちなトラブルを語るうえで、まず会社員とフリーランスの違いを解説してくださいました。

一般的な会社員の場合、企業(会社)と個人(従業員)の雇用契約から成り立っています。そのため、会社員は「労働基準法」「労働組合法」「労働契約法」「職業安定法」など労働関係法令に守られています。

しかし、フリーランスの場合、企業と個人は業務委託契約などでつながる関係です。そうすると、労働関係法令の適用外になり、民法や商法、下請法、独占禁止法、家内労働法などが適用されます。

フリーランスになりたてのころは、うっかり自分を「労働者」だと考えている人も多いもの。トラブルになって初めて、会社員など雇用契約の有無から生じる違いを痛感することにもなりかねません。

手厚い労働関係法令の保護を受けられないフリーランスは、「適切な契約書などで身を守ることがまずは大切です」と小西さんは力説します。

わが身を守るために必要な“契約書の知識”って?

でも、民法や商法を一から覚えるなんて無理!と思った人も多いはず。
もちろん、全部の知識が必要なわけではありません。
だからこそ、自分に必要な法律知識を持っておくことが大切なんですね。

まず、小西さんが会場の参加者に強調したのは、「契約書は口頭のみの合意でも成立する」ということでした。

契約書の主な機能は、

    1. 契約当事者間の合意の存在の証拠として、「言った、言わない」の後日のトラブルを防止する
    2. 訴訟になった場合の紛争解決基準となる

ということ。

そのうえで、「声を大にして言いたい」と話したのは、「契約は原則として法律の規定よりも優先される」ということだそう。

「契約自由の原則」により、もちろん公序良俗違反に該当するようなものなど例外はありますが、基本的には当事者間で契約の内容を決定することができてしまうのです。

だからこそ、フリーランスが自らを守るのは「契約書」
ですから、契約書の文言は慎重に検討しなくてはいけません。

とはいえ、契約書もいろいろな種類があります。イベントで登場した契約書は、

・製造委託基本契約
・システム開発委託契約
・秘密保持契約

でした。読者の皆さんも交わした覚えのある契約書がこの中にあるかもしれませんね。
こうした契約書の中でも、チェックしておきたいポイントがあるそうです。

イベントで紹介された一例をご紹介しましょう。
特にこのイベントでは、クリエイターやエンジニアの方が多かったので、「システム開発委託契約」を受託者目線で詳しくご解説いただきました。

同センター弁護士の古賀聡さんからは、「ネットによく出ているのですが、『準委任(契約)にしていれば安心』というのは誤解」との指摘がありました。

準委任は作業を行っていればいいと思っている人がいるそうなのですが、システム開発は“システムを開発すること”が仕事ではなく、“システムを開発して、成果物を完成させること”が義務を履行するということであるわけです。ですから、準委任にしているからといって、工数が延びたぶんの報酬がもらえるわけではないわけです。

ですが、これは契約書の内容次第でトラブルを防ぐことができます。
「(準委任契約をしている人が)『工数を超過しているのに(報酬が払われない)』という不満はよく聞きますが、こうした事態を防ぐためには、工数消化や期間経過を条件にして報酬発生する旨を契約書に盛り込むことが大切です」(古賀さん)とのこと。

フリーランスが身を守る術、きちんと身に着けておかなくてはなりませんね!

「情報収集」がトラブル回避のカギ

では、フリーランスが法律トラブルを避けるために、日頃からどんなことをしておけばよいのでしょうか?

小西さんは、ポイントは2つあると話します。

まず1つは、取引先など相手の情報を、日常的に収集しておくこと
報酬の未払いといったお金に関するトラブルがあったとき、よくあるのが「相手の素性がわからない」「どこに相手のお金があるのかわからない」というパターンなのだとか。
誰なのかわからないと裁判も起こせませんし、仮に裁判に勝ったとしても預金口座がわからなければ、結局泣き寝入りになってしまうこともあるようです。

もう1つは、契約書をよく確認することです。
相手から渡された契約書は、基本的に相手が有利になるようにできています。
契約書を渡されたら、こちらから入れたいことを5つくらい提示するのも大切だそう。
そのうち、折れられない内容を2つ、入るなら入れたい内容を3つくらい提示するのがコツだとか!

また、契約書の内容で、どんなことを想定しているのかわからない文言については、メールやメッセンジャーなどで一言聞いておきましょう。言質を取ることで、裁判の証拠として使えることとあるそうです。

それでもトラブルが心配な人は……

こうして対策を練っていても、取引先と報酬のトラブルは起きかねません。

フリーランス協会と損害保険ジャパン日本興亜が今年8月から発売した、報酬トラブル弁護士費用保険「フリーガル」は、フリーランス協会の一般会員専用商品として提供を開始しています。

興味を持った方は、こちらを参考にしてくださいね!

フリーランス協会では、こうしたフリーランスのみなさまに有意義な知識が身につくようなイベントも定期的に行ってまいります。
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