【インタビュー】共通点は、新しいことを生み出すアーティストであること。 役者・経営者 田邉淳一さん

こんにちは。フリパラ編集部のライター、佐藤です。フリーランス・パラレルキャリアの多様な暮らし・働き方を、取材を通してご紹介する「隣のフリーランス」企画。

今回は、本企画初のパラレルキャリア、田邉淳一さんのご紹介です。現役の役者であり、経営者の顔をもつ田邉さん。多忙な仕事を同時に実現するために、どんな工夫をしているのでしょうか。

プロフィール
田邉 淳一(たなべ じゅんいち)(40代)
職業:役者/株式会社J’S STUDIO代表取締役

大学在学中に内定した商社へ就職を決めたものの、その後、自分の進む道は役者だと確信し、辞退する。大学在学中より役者として活動し、国内でハリウッド俳優も取り入れている演技手法「マイズナーテクニック」を8年学んだ後、NYへ渡米。マイズナーテクニックの権威である恩師より3年間指導を受け、帰国。 

2013年7月に株式会社J’S STUDIOを設立。自身も役者として活動をする傍ら、販売員の接客力を競う「接客ロールプレイングコンテスト」でプロのお客様役を育成。販売員の接客の課題を「見える化」した研修が業界内で好評を得ている。役者のスキルを一般企業に活かせる仕事を生み出すために日々奔走中。

WEB:J’S STUDIO
Facebook : 田邉 淳一
Twitter:@TanabeSynch
Instagram:@junichi_tanabe

1度は、商社へ就職する事も考えた。選んだのは、役者の道

ー 現在、役者をしながら経営もされてますが、役者と起業、それぞれの経緯を伺えますか。

大学在学中は、自分が何に向いているかわからなくて、将来が不安でした。就職活動をする時も特にやりたい事も無かったので、父親に勧めらるまま商社を受けたんです。卒業したら商社で働いて、いつか海外赴任ができればと考えていました。

ー  大学生の時は、まだ役者になろうと思っていなかったんですね。そこから役者を目指したきっかけは何ですか。

大学4年の6月には商社から内定が出ていたので、卒業まで時間もあるし、じっくり将来について考えようと思ったんです。自分の過去を振り返ると、高校の文化祭で主役を演じた時に楽しかった事を思い出して「あ、役者って、面白いかもしれないな」と思いました。

7月にオーディションを受けて、すぐに所属事務所と仕事も決まって、気がつけば大学に通いながら俳優業を開始していました。商社に就職して両親を安心させることができる安定した生き方をするか、自分が心から没頭できると思える俳優業に専念するか、卒業直前まで悩んだ結果、俳優の道を選びました。

ー  大学卒業までの半年の間に、人生の転機を迎えたんですね。自分の心に正直な選択をされたように思います。

自分の中に湧き出た衝動で行動を起こすことをは多いですね。マイズナーテクニックというハリウッド俳優も取り入れている演技手法を、国内で8年学んだのですが、その後NYに渡ったのも、どうしても本場でマイズナーテクニックの権威から指導を受けたくなたからなんです。

NYで出会った役者からは自己表現の上手さや、独立心の強さにすごく刺激を受けました。役者とはアーティストであり、表現者であると実感しましたね。

そして自分もゼロから仕事を創り出していきたいという思いに駆られて、帰国後すぐに起業に向けて動き出しました。

映画「審判」アフレコ風景

ー 仕事を自身の力で生み出すことが当たり前の環境に身をおいたことが、田邉さんの起業の原点になったんですね。会社では、どのようなお仕事をされているのでしょうか。

主に、一般企業に向けて役者のスキルを活かした研修を行っています。「接客ロールプレイング」と言って、販売員の方の接客力を上げるために、俳優がお客様役を努める研修方法があるのですが、そのお客様役の育成や派遣を行っています。

ー 「接客力ロールプレイング」という研修があるんですね。研修では、具体的にどのような事をするんですか。

たとえば、アパレルや飲食業の店員さんの接客力を上げたいと思っても、実際の販売の現場でお客様相手に接客の練習をすることはできないですよね。

そこで、実際の販売のシチュエーションにありそうなお客様のタイプを設定して、役者が販売員の方の相手(お客様役)をすることで、販売の現場を再現した研修の中で、接客の練習をする方法になります。

ー役者として訓練された俳優だからこそ、接客の疑似体験を提供できる、と。

そうですね。現場を再現することで自然と普段の接客力が引き出されますし、その場にいる周りの人も、目で見て一緒に学ぶ事ができるので、大変効果が現れやすい研修方法です。

ー そのお仕事をしながら、現役で役者もされているんですよね。舞台を中心に活動されていますが、舞台の稽古って大変なイメージがあるのですが…。どうやって両立しているんですか?

舞台が決まると、大抵1ヶ月前から稽古がはじまります。稽古は午後からはじまる事が多いので、午前は社長業をして、午後から夜にかけて役者の仕事をします。

接客ロールプレイングコンテストの開催と重なると、休みはほとんどありませんが、幸い、役者として培った体力もありますし、毎日充実しています。

接客ロールプレイング風景

経営者としての学びが、役者としての自分の糧になる

ー役者と経営者を両立することのメリットはありますか?

私の場合、役者として学ぶことと、経営者として学ぶことが延長線上にあるので、どちらにも活かせるメリットがあります。たとえば、経営者として所属している役者に指導をする時は、同じ役者としての視点からより具体的なアドバイスができます。

逆に、経営者として得た知識や視点、想像力を、役者の活動にも活かせるようになったことで、役者の活動の幅が広がりました。

経営者として、自社の強みを掘り下げて営業やPRに繋げた視点を、役者の自分にも反映することができるようになったんです。その結果、自分の強みを打ち出した売り込み方に繋がったり、新たな企画を生み出すことができました。

両方の仕事内容が全く違うものだったら、同じように活かす事ができたのか、わからないですね。

ー 両立する仕事の学びを双方に活かせる事が、継続のポイントなんですね。最後に、今後の活動のビジョンを教えてください。

私は、俳優として学んできた知識やノウハウは、劇場やメディアの中で演じるだけではなく、一般の企業にも活かせる事が数多くあると思っています。私が行っている接客力ロールプレイング研修も、そのひとつです。

今後は周りの俳優も巻き込みながら、一般企業との仕事を積極的に創っていって、世の中に新しい仕事のスタイルとして、定着させたいと思っています。

(インタビューここまで)

ひとつの事に専念して掘り下げていく仕事のスタイルもあれば、田邉さんのように、関連する仕事をゆるやかに繋げていきながら、少しずつ輪を広げるスタイルもある。

いずれにしても、自分がどちらのタイプか早く見極めることができれば、その分、早くチャレンジする幅を広げることも、深く探求することもできるのかもしれない…。

インタビューを通して、私にも、田邉さんの目指す新しい仕事のスタイルの風が吹いたような気がします。

田邉さん、ありがとうございました。


▼田邉さんが出演した映画「審判」の詳細はこちらからご覧いただけます。
映画「審判」オフィシャルサイト

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