山口県萩市にて1週間。
「ワーケーション」という、ワークとバケーションの“いいとこどり”のような働き方をしてみました。この体験を通じて、こんなに癒されて、刺激も得られて、心も満たされる場所があるんだ! と知り、驚いているライターの松田 然(もゆる)です。
ちょっと大げさに聞こえたかもしれません。ですが、僕は2010年に個人事業主として独立し、趣味である自転車旅をしながら、2012年頃から47都道府県を全て周りながら仕事をしてきました。それ以外にも、出張や個人旅行で国内外のいろいろな都市を見てきました。その中でも、萩という場所に対して正直に感じたのが、冒頭の印象です。
萩のポテンシャル高い! いや、この実力は本物 と(エラそうにすみません)。
では、どこがそんなに良かったのか!?
今回はフリーランス協会とのコラボでした。先に10日間の子連れワーケーションを行ったフリパラ編集部の児玉さんの記事も参考にしつつ……。
僕のほうは、萩市にて「単身ワーケーション」で滞在する魅力を、大きく3つのポイントに分けてお伝えします。
ポイント1 自転車でも回れるコンパクトシティ ポイント2 歴史上の偉人から内省の機会と学びを得られる街 ポイント3 人から刺激と温かさをもらえる人情の街 |
ポイント1 自転車でも回れるコンパクトシティ
まず大前提として、僕個人の趣味が自転車であるから、自転車移動をオススメするわけではありません(笑)。
よく、「地方都市は車がないと不便」と言われますが、萩は市内の中心エリアに主要観光スポットやカフェ、食事処、ゲストハウスなどがギュッと詰まっていて、豊かな自然も街のすぐそばにあります。ワーケーションで滞在中は、レンタカーなどによる余計な出費も抑えたいですしね。
萩は坂道も少ないコンパクトシティなので。移動に車や電車を使わない選択もあり、です!だって、仕事の合間にちょっと自転車を走らせるだけで、こんな景色が広がっているのだから……。
えっーーー、もう1日中サイクリングしていたい(笑)。
と思ってしまったのは内緒ですが、もちろん仕事もある。
そこで、滞在中は、仕事→リフレッシュ→仕事→リフレッシュ→しご……飲みにいく!みたいな毎日を送っていました。
僕は東京にいてもリモートワークが基本なので、仕事場は萩でもゲストハウスやカフェなど。市内にコワーキングスペースはないので(2019年9月現在)、仕事だけに集中したい場合は、ホテルに缶詰になって作業に打ち込むのも、環境が変わっていいかもしれません。
でも、せっかく旅にきたなら、街を散策してみるのも面白いし、気分も上がります。なぜなら……。
昼はオフィス、夜は民泊施設として運営している「オハナスタイル萩」。もちろんWi-Fi完備!
普段と違うシチュエーションで働いてみたり、スマホやPCをそっとしまって、自然の中で気分を変えたりすることで、より良い仕事のアウトプットができるかもしれませんね。
ポイント2 歴史上の偉人から内省の機会と学びを得られる街
「歴史がある街だから、萩で仕事しよう!」
と、なるのは余程の歴史好きの人だけかもしれません。
僕自身もそこまで歴史に詳しいわけではなかったので、学生時代に全巻読んだ「お〜い!竜馬」を読み直しました(笑)。
今回のワーケーションでは、そのような方々が過ごした街を散策したり、吉田松陰先生をはじめとする偉人から多くのことを学び、また自分の生き方を内省するきっかけにもなりました。
萩で松下村塾を開き、高杉晋作や伊藤博文、山県有朋ら明治維新前後に活躍した人材を多く育てた吉田松陰。
夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。故に、夢なき者に成功なし。 |
教えるの語源は「愛しむ」。誰にも得手不得手がある、絶対に人を見捨てるようなことをしてはいけない。 |
世の中には体は生きているが、心が死んでいる者がいる。反対に、体が滅んでも魂が残っている者もいる。心が死んでしまえば生きていても、仕方がない。魂が残っていれば、たとえ体が滅んでも意味がある。 |
こんな言葉達に触れると、「あれ!? 目先の締め切りやお客様対応でいっぱいいっぱいになっている、今の働き方でいいのだろうか……」と、自分自身の生き様を顧み、反省し、明日への気力を満たせるのである(いや、本当に!)。その他にも、お寺や城下町など、古き良き建物や風景が未だに残る萩の街。歴史から学び、未来に向けて動く、そんな働き方がしたくなるなぁという思いに駆られます。
都会は人がたくさんいます。イベントや勉強会なども多く刺激には事欠きません。
一方、地方はゆっくりした時間の流れや、人と人との触れ合いが温かい。……とはよく聞く話ですが、萩も地方都市の持つのんびりで温かい雰囲気はありながら、都会では得られない刺激もたくさんいただきました。
なぜなら、萩には、個性的な地元の方や、Uターン・Iターン移住者、2拠点生活をしている人など、生き方・働き方に”面白さ”を感じる人とたくさんお会いできたから。取材という目的があったので、現地では意識して人と会っていたというのもありますが、今まで訪れた地域の中でも印象的な場所でした。
僕自身も驚いていることですが、萩に行くまでこの地に知っている人はおらず、アポがあったわけではないのに、いろいろな方をご紹介いただいたり、街で会って話すことで交流が広がり、大満足の滞在となりました。
ワーケーションをするなら、「一人でのんびり」も「仕事仲間と一緒に」も楽しいのですが、現地の生活に入り、暮らすように旅をすると、より充実感を味わえるのではないでしょうか。
萩でワーケーションをする課題とポイント
今回の滞在で、とてもいい点はたくさん発見できましたが、課題も何点か挙げたいと思います。観光だけなら何事も経験ですが、仕事も加わるとリスクは減らしたいですよね。
まずは、「どんな種類の仕事をするか」という点。
どの地域にも言えることですが、締め切りが多い作業系の仕事は、Wi-Fi環境の良し悪しや、遊びへの誘惑(それを断って仕事していると辛くなってくる)などがあり、ワーケーションには向いていない場合があります。
萩も決して仕事環境が整ったスペースが市内各所にある場所ではないので、企画系の仕事や、普段の仕事の整理、自分がやりたいことの振り返りなど、やることをあえて絞ることも時には必要かもしれません。もちろん、いつもと違う場所に篭って、黙々と作業する合宿スタイルが向いている場合もあるかもしれませんので、まずは実験的にトライしてみることをオススメします。
また、萩までのアクセスは、飛行機または電車で。僕の場合は、羽田空港から萩・石見空港まで片道1時間35分のフライト。そこから乗合タクシーで約1時間くらい。旅慣れしている人なら大した時間ではないと思います。ただ、滞在期間が短い方は、仕事の時間の確保が大変だと思うので、気をつけた方がいいかもしれません。
とはいえ、環境面やアクセスに関しては、どの地域にも課題点はあります。ですから、普段の仕事場とはまた違った環境で仕事がしたい方にワーケーションは向いていると思います。
僕は働き方に”移動”を掛け合わせ、旅中や旅先で仕事をする実験を今までしてきたので、その活動自体が仕事になったり、現地で出会った人たちと新たなプロジェクトが始まったり、自分はこういうことをやりたかったんだ! という気づきがあったり……、
と、単なる観光から一歩踏み込み、暮らすように旅してきた経験が多くありました。
だからこそ、山口県萩市はもっと滞在したいなぁと素直に思えましたし、皆さんにも紹介したい場所になりました。ぜひ、次はあなたも!
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寄稿者:松田 然(もゆる)さん
■ 合同会社スゴモン 代表
ー2013年創業のライターカンパニー
ー国内外約50人のフリーライターと業務委託でプロジェクトを担う
ー主にキャリア・ワークスタイルの分野で4000人以上を取材
■ 「SoloPro」編集長
ー 働き方をアップデートするメディア「SoloPro」企画・運営
■ 自転車旅ライター
ー 自転車旅が好きで、仕事をしながら47都道府県すべてを走破