先ほど、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部が開催され、「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策―第2弾―」が決定されました。緊急要請について多くのメディアで報道&SNSで拡散いただき、署名にも多くのご賛同を頂いたお陰で、フリーランスへの支援策メニューも盛り込まれています。また、フリーランスの支援や保護をこれまで推進・検討してきた関係省庁より、連名で取引先企業に向けた要請が出されています。
フリーランス・個人事業主向けの支援は、赤枠の部分です。(PDFファイル)
※元データ:新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策 ―第2弾-(概要、本文、首相発言)
※2020.3.19追記:ビジネス・インサイダーのこちらの記事では、対象別に分かりやすく解説しています。併せてご覧ください。
<厚生労働省・経済産業省・公正取引委員会連名>
◎今般の新型コロナウイルス感染症により影響を受ける個人事業主・フリーランスと取引を行う発注事業者に対して、取引上の適切な配慮を行うよう、厚生労働大臣、経済産業大臣、公正取引委員会委員長連名で関係団体に対して要請を行いました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10096.html
https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200310007/20200310007.html
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2020/mar/200310_yousei.html
<経済産業局・中小企業庁施策>
◎様々な資金繰りメニュー
個人事業主・小規模事業者が最大3000万円まで実質無利子・無担保で借入できる「新型コロナウイルス感染症特別貸付制度」のほか、「マル経融資の金利引き下げ」(最大1000万円まで▲0.9%)、「セーフティネット貸付」(売上高等の要件なし)など、様々なメニューが用意されています。
問合せ先:日本政策金融公庫 事業資金相談ダイヤル:0120-154-505 または お近くの経営相談窓口へ
<厚生労働省施策>
◎新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金
・臨時休業等の理由で、2月27日~3月31日の間の就業できなかった日について、日額4100円を支給
・問合せ先:学校等休業助成金・支援金等相談コールセンター 0120-60-3999 (土日・祝日含む9:00~21:00)
◎生活福祉資金貸付制度の特例措置
・休業者向けの「緊急小口資金」、失業者向けの「総合支援資金」の2種類
・併用で最大80万円を無利子・保証人無しで貸付
※緊急小口資金20万円+ 総合支援資金20万円×3ヶ月=最大80万円
・償還時になお所得の減少が続く住民税非課税世帯については「償還を免除」
・問合せ先:お住まいの市町村の社会福祉協議会 (3月25日より受付開始)
※3月20日追記
緊急対応策第2弾の発表時点では、上限20万円となるのは休校理由のみでしたが、3月18日の発表で休業理由でなくてもあらゆる個人事業主が上限20万円になりました。
新型コロナウイルス対策第2弾を受けて(平田のつぶやき)
補償と救済措置は違うのです。
フリーランスに「補償」はありません。ビジネスリスクを背負うのが自営業者の宿命です。それはこれまで政府がフリーランス保護を進めてきた中で、我々からも何度も伝えています。
(なので、政府がフリーランスを推進してきたのに掌返しという論調は間違っています。これまで政府はフリーランスの保護や活用は推進してきたけど、ビジネスリスクを補償するようなことは後にも先にも言っていないし、そうなったらもはや自律した自営業者ではない。)
しかし、今回はコロナリスク拡大によるオーガニックな理由はもちろん、政府要請により、フリーランスだけでなくあらゆる業界の中小・小規模事業者が打撃を受けて体力が持ちません。自営業者に織り込み済みのビジネスリスクの範疇を越えています。だから「救済措置」が必要です。
無利子・無担保の5000億円融資「新型コロナウイルス感染症特別貸付制度」について
救済措置と言っても、給付型支援は相当難しい。フリーランスは口約束も横行しており、昨年の確定申告実績も現在働いていることの証明にはならない。つまり、対象者の確認や失われた報酬額の算定や公平性の担保が難しいので、基本的には無利子無担保の融資で対応するのがフェアだし妥当だと思います。
それはフリーランス自らが借り入れると共に、発注主が借り入れてフリーランスが被っている持ち出し経費や既に稼働が始まっていた分については支払って頂く、という流れを作っていくことも一つです。(それが緊急要請2の2項)
日本政策金融公庫は数千万円レベルで個人事業主も借入可能。生活資金も含めた運転資金に真摯・積極的に対応するとのことなので、臆せず使いましょう&クライアントにも使ってもらって痛み分けしましょう。
日本全体が苦しいのです。頑張って働いて返せる人は返しましょう。政府は金のなる木ではなく、財源は我々自身の税金で、限りがあります。それが大前提です。
無利子の生活費貸付「生活福祉資金貸付制度」について
ただ、イベント自粛や運営自粛、休校要請で不可抗力的に休業を余儀なくされ、未だに運営再開の目処が立たない職種の人たちにとっては、いくら無利子とはいえ借入れするのは不安過ぎます。それは酷だと思い、給付型支援の検討を求めました。(それが緊急要請3)
これは、社会福祉協議会の生活福祉資金貸付制度の上限額を20万円に引き上げ、困窮世帯は債務免除も検討する、となっているのが回答かと思います(2種の貸付制度を併用すれば最大65万円)。本当に困っている方には実質的な給付型支援になるということですね。
小学校等の臨時休業に対応する保護者支援の創設(委託を受けて個人で仕事をする方向け)について
また、これまで雇用類似検討会で議論されてきたような「労働者に近い業務委託契約の人」は、シフトや常駐前提で休業の証明が可能だし、実態として自営業者とは言い難いケースもあるので、公平性の観点から会社員と同等の休業補償(休校理由)を求めました。(それが緊急要請1の2項)
日額4100円という金額には不足感を感じる方もいるかもしれませんが、業務委託は副業兼業が可能で会社員と比較して他の収入源を模索しやすいことや、会社員と比べて不正受給を完全に廃し難い悩ましさ、ここで雇用と全く同じにしてしまうとまだ決着の付いていない雇用類似の議論もややこしくなってしまうことなどから、現行法制度上はあり得ない政治判断をする上ではこの辺が精一杯だったのかなと思います。
なお、メディアでも誤解してる記者さんが多いですが、正規非正規雇用の人が休業補償されているのは「休校理由のみ」です。業績が芳しくなくてパートのシフト外されたりしても補償はなく、企業が使える雇用調整助成金があるだけです。つまり、休校理由の休業補償も雇用調整助成金も、労働者を救うためではなく企業を救う(休校の場合は不満を口封じする)ための施策です。
残された問題
というわけで、多くの方の署名のご賛同のお陰もあって、フリーランス協会からの緊急要請の根幹部分について、一定の回答を得た認識ではあります。関係者の皆様には感謝しています。持ち出し済みの実費や稼働済み分の報酬支払について発注主に交渉し辛いという点に関しても、いつもフリーランスの環境整備のために苦心してくださっている関係省庁の皆さんが手を取り合って、連名で要請を出してくださって、個人的にはかなり胸アツです。ワンチーム!
ただ、一部職種の人にとっては運営再開の目途が立たない中で、生活福祉資金貸付制度でどこまで本当に救えるのか疑問は残りますし、休校理由での休業の給付4100円の要件や手続きが固まっていなかったりするので、引き続き動いていきたいと思います。
あと、とにかく自粛の対象を明確に定義して限定していく、ということをしてほしい。(緊急要請1の1項、緊急要請2の1項)ウイルスの実態が解明できていない以上保守的になるのは仕方ないと思いますが、詳細を定義しないと、なんでもかんでも自主自粛ムードが広がっていて、コロナで死ぬか経済が死ぬかのジャッジが国として必要になってくると思います。
ベビーシッター助成(緊急要請1の3項)も本当にお願いしたいのだけど、そろそろ休校終わって春休みに入っちゃいます…
お子さんが家にいることで仕事が進まない=納品が遅れる=報酬を請求できない&信頼関係に響いて次の発注があるか不安、というフリーランスの事情もぜひ分かって頂きたいです。(なお、我が家は保育園なので影響はありません。保育園に感謝)
ウイルス罹患リスクを気にしている方もいると思います。フリーランスはドクターストップで自宅待機や入院になったら即、収入が無くなります。それもこれまで訴えてきたセーフティネットの不備ですが、不安に思う方は良かったらフリーランス協会で病気やケガの所得補償プランを用意しているので、宜しければご確認ください。
テレビや新聞では尺や文字数の制約がありますし、私の言葉足らずでうまくお伝えできてなかったりするので、一応お話ししていることの全容を書きました。普段クライアントには取材対応であーしろこーしろというのに、自分も実はテレビ取材対応は大の苦手です。精進します…
現場からは以上です(`・ω・´)ゝ キリッ
不安で夜も眠れなくて前向きな気持ちになれない人も沢山いらっしゃると思いますが、人類に乗り越えられない脅威はありません。
みんなで力を合わせて頑張っていきましょう!私も微力ながら頑張ります!
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