プロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会

文豪が愛した宿でプチ“缶詰”! フリーランスライターのおこもりワーケーション体験記

週末に受信したメール。「過日の取材原稿、ご状況はいかがですか? 進捗をお知らせいただけますと幸いです」。
そろそろ来るとは思っていたけれど、実際目にするとどうしてこんなに動揺するのだろう……。まだ一文字も書いてないなんて、言えないよ絶対。

そうしたわけで、私、協会編集部の浦上は決然と電車に乗った。文豪たちもこぞってする「缶詰」というものを、一介のフリーランスライターもしてみむとて行くなり!
いざ、文豪が愛したお宿でおこもりワーケーション!

濃密な文学の香りに、すっかりその気にさせられて

新宿駅から特急あずさで約2時間。文豪気分でおこもりするのは、蓼科山の渓谷に佇む一軒宿「蓼科(たてしな) 親湯温泉」であります。

伊藤左千夫や島木赤彦、高浜虚子、柳原白蓮といった文人・歌人たちが愛し、多くの作品を生み出していった場所と聞けば、もうそれだけで原稿用紙が埋まる思いがするではありませんか。
さらに太宰治が新婚旅行に訪れたとか、映画監督・小津安二郎の日記にもたびたび登場するとか、芸術家・文筆家からの愛されエピソードがジャンジャカ出てくる……!

それもそのはずです。
その理由、わかりました。

一歩館内に入れば、この素敵さ。なんですか、夢ですか。
壁一面にぎっしりと本が並ぶ、広々としたラウンジ「みすずLounge & Bar」。3万冊もの蔵書があるといいます。

親湯温泉にゆかりのある文人、歌人を中心に、ジャンルも時代もさまざまな本が並ぶ書棚は、見ているだけでも楽しい。親湯温泉は、大正15年の創業。書棚には、戦前に出版された貴重な書籍も並びます。まさに知の宝箱!

子ども向けの本もたくさん。
幼いころ夢中で読んだなつかしい顔ぶれ。タイムスリップしたみたいな気持ちになるのはなぜでしょう。鼻の奥がツンとしちゃう。

文豪パワーを味方につけて

こうしてお部屋に着く前にすっかり準備完了。なんの準備かといえば、それはもう、先生になる準備です。文学の香りに包まれたならきっと、家では1文字も書けなかったあの原稿もスイスイ書けるに違いない。

だって、お部屋に行くまでにも、こんな回廊があったりするのです。

右も左も岩波文庫、圧巻です。高まります。なんて尊い眺め……。

高まり切ったアタクシ、お部屋に入るなり、早速、執筆を開始しました。

このお部屋は、親湯温泉のなかでも文人をイメージしてデザインされた10室のうちの1つ。親湯温泉を文人たちに広めた立役者でもある、伊藤左千夫をイメージしたお部屋です。

クラシックモダンなインテリアと上質な調度品に囲まれて、ちょっと姿勢を正してカタカタ。そのうちソファに足を投げ出してカタカタ。小上がりに腰かけてカタカタ。

自分でも不思議なくらい集中できたのは、やはり文豪パワーのおかげでしょうか。

なんとなく目処がたったら、ひと息入れに温泉へ。
源泉は武田信玄の隠し湯と言われているそうで、まろやかでやさしい肌当たり。ほぐれます。

ライブラリーラウンジのなかにあるカウンターデスクも、ワークスポットに最適でした。もちろん全館フリーWi-Fi。ぬかりなし。

「缶詰」で仕事がはかどるワケ、ちょっと分かった

おこもりワークをすると、なぜ仕事がはかどるのか。締め切りに迫られた小説家や漫画家が「ホテルに缶詰」になるというのはなぜなのか。

一泊だけのプチ缶詰でしたが、その理由、ちょっと分かった気がしています。

まず、普段と環境を変えることでのリフレッシュ効果は大きい。「書けない、進まない、もう締め切りなんてどうでもいい」というヤケクソ状態から簡単に脱することができる。

続いては、コンディションが整うこと。ひと仕事したら、18時に食事。地の食材をふんだんに使った美しい一皿一皿を堪能すれば、執筆にむかうエネルギーも湧いてくるというもの。おいしいものを食べると、人は元気になります。

温泉効果は、これはもはや言うに及ばず。パソコンをカタカタ言わせられなくなったら、とりあえず大浴場に行けばいいのです。露天風呂から月を眺めるうちに、こんがらがった脳内も静まります。部屋から場所を移して、ラウンジでパソコンを広げれば、あら不思議、また書ける! そうこうしているうちに書き終わる!

ワークスポットをいろいろ変えられるのも魅力。お部屋、ラウンジ、カウンターデスクと、あちこち移動することでも、気分が変わります。集中が切れるのを防ぐ効果があったように感じます。

そして、何より雰囲気。その気になれるって、いいものだなーと実感しました。本に囲まれて、すてきな場所にいたら、なんか書ける気がしてくる。
おかげさまで、4500字のインタビュー原稿、雑誌の2ページ原稿を書き上げ、送信完了いたしました。

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文豪が愛したお宿は、全国各地に。「文人が愛した宿」をキーワードにおこもり先を探すのも楽しそう!

ちょっと探しただけで、こんなに!
▶︎宮澤賢治が愛したお宿
大沢温泉 湯治屋
▶︎夏目漱石、福澤諭吉、島崎藤村が愛したお宿
福住楼
▶︎川端康成が愛したお宿
湯本館

親湯温泉には、お得な「連泊割プラン」も。2泊以上の連泊なら、通常料金よりお得な割引価格で宿泊できます(詳細はこちら!)。ゆったり滞在できるようにと、ランチの無料サービスも! おこもりワークもますますかはどりそうな予感がムンムンです。

新型コロナウイルスの感染拡大防止策もあり、リモートワークが推進されている今。ガラリと場所を変え、リフレッシュしながら働く「プチ缶詰」にトライしてみるのもいいかもしれません。

お宿から一歩もでなかったとしても、気力充実は間違いなし! 心身ともに満たされるし、仕事もはかどるし、元気になって帰ってこられますよ。

今回宿泊した宿
蓼科(たてしな) 親湯温泉
■場所:長野県茅野市北山蓼科高原4035
■電話番号:0266-67-2020

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