3/24(木)12時に、「報酬トラブル」に関するランチタイムウェビナーを開催しました。
フリーランスなら誰もが避けたい「報酬トラブル」ですが、 本イベントは280名の方にお申し込みいただき、皆様の関心の高さが伺えました。参加者の皆様の事前アンケートでは、18%の方が10万円以上の被害に遭われたと回答しており、過半数以上の方が何かしらの報酬トラブルの経験があると回答していました。
今回は、東京弁護士会・中小企業法律支援センターのご協力で、報酬トラブルを避ける・戦う・取り返すノウハウを、債権回収やハラスメント等事業者間のトラブルに精通する藤原弁護士をゲストに 徹底深掘りしました!
▼イベント内で藤原弁護士が使用した資料はこちら
<資料内紹介URL>
・東京弁護士会の中小企業法律支援センター
・フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン
・下請法の概要(公取委HP)
・「優越的地位の濫用~知っておきたい取引ルール」(公取委HP)
・自営型テレワークガイドライン
イベント後半では、皆様からslidoでお寄せいただいたご質問について藤原弁護士に回答いただきました。
Q&Aを一部ご紹介します。
Q.取引先が倒産した場合どうしたら良いのかを知りたい。
A.倒産の意味合いがさまざまありますが、破産手続きが開始された場合には破産法のルールに従って債権者に弁済がされます。そのため、勝手に回収をしてしまうとその効力を否定されてしまう恐れもあるため、自分で動くよりは裁判所の手続きに従って債権届を出して、代理人や管財人に債権の存在を知らせてもらうことが重要です。
Q.費用対効果として債権額がいくら以上であれば、追加手続き措置(弁護士への依頼含む)を講じるべきでしょうか。
A.費用対効果はそれぞれなので一概に回答しにくいです。ただ、数十万円の回収の場合には、弁護士費用が大半を占めてしまう場合があります。その場合は、回収に向けた作戦を弁護士に相談し、作戦・方針を決めてから自分で動いていくという方法もありえます。
Q.個人事業主同士の取引で注意するポイントはありますか?
A.個人事業主同士の取引でも気をつけるべきポイントは同じですが、
信用力の面は、やはり法人と比べるとどうしても見劣りする部分があるため、財産はどれくらいあるか調べたり、支払い方法を前払いにしてもらうなど、報酬トラブルが発生しないように事前対策を講じたり、より契約状況を気にしてもらうのが良いと思います。
Q.匿名性の高いプラットフォームを利用して取引した場合、裁判の相手がわからないときはそのプラットフォーム事業者に開示請求から行うことになるのでしょうか?
A.プラットフォームのルールや制度、事案によりますが、プラットフォームの事業者との交渉からスタートになるかと思います。普通のやりとりよりワンステップ入ることになるため、利便性はあるかと思いますが、何かあったときはその辺りがデメリットになることもあるかもしれません。
Q.海外のクライアントとの報酬トラブルの場合は、どんな弁護士・どんな機関に相談すればよいでしょうか?
A.相手の国にもよるので、東京弁護士会中小企業法律支援センター※に電話でご相談いただければ、海外に対応できる弁護士の紹介も可能です。また、法制度なども国によって異なるため、海外の場合は特に事前に前払いしてもらうことをお勧めします。
※東京弁護士会の中小企業法律支援センターは、初回相談30分間は相談料が無料となっていて、ウェブサイト(https://www.toben.or.jp/form/chusho1.html)とお電話(03-3581-8977)のいずれでもご相談可能です。
Q.クライアントから、一方的な契約書の締結を求められた場合、どのように断るといいでしょうか。
A.対策としては、契約書の修正をしていったり、こちらであらかじめ契約書を作って提示したりするなど、できる限りの契約交渉をしていきましょう。
契約をしてしまうとそれで進んでしまうため、契約前にできる限り交渉することが重要となります。
Q.書面で残すことができない場合、交渉を録音した音声などは証拠として使えるのでしょうか?
A.発言を誘導している場合など証拠の価値が下がることがあるので、録音があれば全部大丈夫とは言い切れませんが、あって悪いことはないです。
ほかにもメッセージアプリについては、スクリーンショットでも大丈夫です。メッセージは消さないでバックアップをとっておくと良いかと思います。メッセージを後から編集ができてしまうツールでやりとりしている場合には、核心の部分は編集前にスクリーンショットをとったり、確認のメールを送っておくなどしておく事も良いと思います。
Q.過去の制作について未払いが発生したため、毎月分割で返済いただく取り決めを念書にて約束しましたが、支払いが滞っている状況です。催促はしているのですが、どうすれば良いでしょうか?
A.念書の内容がしっかりしたものであれば、基礎編でご説明した手順で粛々と進めていくしかないかと思います。公正証書で作っていれば、もう少し迅速に手続きができた可能性はありました。
いかがでしたでしょうか?
今後、契約前には是非、本記事をチェックいただけますと幸いです。
<関連情報>
▼フリーランス協会公式noteフリパラ記事
フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン(概要)をインフォグラフィックで読んでみる
https://note.com/frepara/n/n5a8d1f61a49e
▼一般会員自動付帯『弁護士費用保険:フリーガル』のご紹介
https://www.freelance-jp.org/pdf/flegal.pdf
【ニュースリリース】報酬トラブル弁護士保険「フリーガル」をすべての一般会員に提供 ~年会費1万円は据え置きでさらなる安心を~
【講師プロフィール】
〇弁護士 藤原 慎一郎(ふじはら しんいちろう)先生
みらい総合法律事務所。
福岡県出身。中央大学法学部卒業、一橋大学法科大学院修了。主に各種契約関係、債権回収、労務、ITや知財など幅広い分野の企業・事業者に関する法務や、不動産案件に携わっており、企業内の研修講師等も担当している。
また東京弁護士会では、中小企業法律支援センターに所属し、中小企業・事業者の支援のため、他士業との連携や働き方改革の啓蒙等を行っている。