11月1日は「いいひとりの日」=キャリア自律の日!2024年も11月1日に、第3回目となる「Independent Power Fes2024」を開催しました!
今年のイベントテーマは「Power to the Freelance!」
3つのセッション、3つのワークショップ、6つの相談・体験ブース、2つのアフターパーティと、様々な角度からフリーランスを応援する盛りだくさんの構成の1日でした。
ご来場くださった方も、ご参加が叶わなかった方も、当日の熱量を感じていただきたく、
レポートにて一挙紹介いたします!
1stセッション
11月1日施行、「フリーランス新法」でどう変わる?
毎年11月1日に開催しているIPFですが、今年は、フリーランス協会が法整備を働きかけた「フリーランス新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)」の施行日にちょうど重なりました!
最前線で法整備にご尽力くださった政府担当者や、フリーランス・トラブル110番の担当弁護士にご登場いただいたセッションには、多くのメディアも駆けつけてくださいました。
フリーランス新法は、フリーランスや副業人材に業務を依頼する発注事業者に、以下の7つのルールを課すという法律です。
<押さえておきたい義務化ポイント>
1、書面などによる取引条件の明示
2、報酬支払期日の設定・期日内の支払い
3、7つの禁止行為(受領拒否、報酬の減額、返品、買いたたき、購入・利用強制、不当な経済上の利益の提供要請、不当な給付内容の変更・やり直し)
4、募集情報の的確表示
5、育児介護等と業務の両立に対する配慮
6、ハラスメント対策に関する体制整備
7、中途解除の事前予告・理由開示
これまでフリーランスとの取引は口約束で済まされるケースも多かったところ、今後は書面やメール、チャットなどでエビデンスを残すことが求められ、受領拒否や一方的な報酬減額といった不当な扱いも法律違反となります。
参加したメディアやフリーランスの参加者からも積極的な質問が投げかけられ、関心の高さが伺えました。
受注するフリーランス側も自己防衛のためにきちんと理解し、適切な契約を求めていくことも重要なのですが、もし法律が遵守されなかった場合は、まずは政府が運営する無料の弁護士相談窓口「フリーランス・トラブル110番」へ相談を。取引先への伝え方を含め、話し合いや交渉のためのアドバイスをもらって解決を目指し、それでも難しい場合は、行政に指導してもらったり、裁判で対応したりする流れに。
フリーランス・トラブル110番では、和解あっせんなどの支援を無料で受けることもできるので、契約トラブルで困ったら、まずは相談してみましょう!
恒例の「フリーランスパートナーシップアワード」、優勝者は?
続いては、フリーランスを巻き込むことで課題解決やイノベーションを実現したプロジェクトを表彰する、恒例の「フリーランスパートナーシップアワード」!ファイナリストに選ばれたのは以下の5社です。
各社の素敵な取り組みは社名のリンクからぜひご覧ください。
①紙小津産業株式会社
受発注にかかる時間が1/6に! 社員によるアプリ開発をフリーランスが伴走支援
②杉浦味淋株式会社
1000人超えのファンの力でコロナ禍を乗りきった! “愛されるみりん”のデジタルマーケ戦略
③株式会社ディライトアップ
松山発・新種のパプリカを全国区へ! 自走する6人のプロボノチーム
④トリイ株式会社
兼業人材こそイノベーター! 創業76年の化学品商社がフリーランスを活用しまくる理由
⑤三田電気工業株式会社
プロ人材の伴走で納期遅れを克服! 生産現場の自信を取り戻した「社長の右腕」プロジェクト
審査員は、キャリア論の第一人者といわれる元・慶應義塾大学教授の高橋俊介氏と、リクルートのWorks編集長でフリージャーナリストとしても活躍する浜田敬子氏の2名。
高橋俊介特別審査員賞を受賞したのは、生産者向けに「営業代行」を提供する愛媛県松山市のディライトアップさん。愛媛の新種パプリカ「ちいあま」のブランディング・商品化を、商品開発、ブランディング、PRなどを専門とする6名のフリーランスチームが支援。メディアキャラバンや、ちいあまを使ったランチの提供・販売会などを実施して、認知や売り上げの向上に貢献した取り組みが評価されました。
浜田敬子特別審査員賞を受賞したのは、兵庫県のプラスチック部品メーカー・三田電気工業さん。コロナ禍の売上減少で経営改善を余儀なくされ、兵庫県プロフェッショナル人材戦略拠点が展開する「右腕人材プログラム」を活用して、地元の大手製鋼所で長年、技術開発、品質管理、生産管理などに取り組んできた、セカンドキャリア真っ盛りのプロ人材とタッグを組むことに。プロ人材のアドバイスで納期遅れやコミュニケーションの課題に注力したところ、週間納期達成率が約45%→約65%に改善、約3時間かかっていた会議も約30分間に短縮した成果が評価されました。
そして、大賞に輝いたのは、家族経営でみりんを製造・販売する愛知県の杉浦味淋株式会社さん。創業100年の同社は、2代前の創業者が考案したレシピに基づく長期熟成を特徴とするみりんを復刻販売して勝負をかけようとしたところにコロナ禍が直撃し、売上半減で瀕死の状態に。そこでフリーランスの料理家、及びマーケターと協業し、SNSでのみりんを使ったオリジナルレシピの投稿や社長による思いの発信などを強化し、テレビ取材が舞い込み1万件以上の注文が殺到。数千名のフォロワーやファン会員も獲得し、売上向上に多大な貢献をしたプロセスが評価されました。
受賞者のみなさんと特別審査員の高橋俊介氏、浜田敬子氏、後援の経済産業省 斎藤智哉氏、フリーランス協会の平田と葛谷とで、最後に集合写真 。
来年も、多くの素敵なプロジェクトストーリーが集まりますように!
2ndセッション
各方面から引っ張りだこのフリーランスに聞く「キャリアブレイクスルー」
続いては、大活躍している2名のフリーランスゲストによる「キャリアブレイクスルー」のセッション。登壇者は、ベストセラーとなった「世界最高の話し方」(東洋経済新報社)の著者・岡本純子氏と、SNSで累計100万人以上のフォロワーを持つイラストレーターのBUSON氏。モデレーターは、元祖アルファブロガーで、現在はnote社でnoteプロデューサーとしても活動する徳力基彦氏が務めてくださいました。
1000人以上のトップエリートを指導した経験を持つ岡本氏は、「話し方」に関する書籍出版を目指して数々の出版社に営業をかけ続け、その結果、WEB媒体での執筆や別テーマでの書籍出版を経て、「世界最高の話し方」の出版にいたったそう。執筆にあたり、“正しさ”よりも“楽しさ”や“容易さ”を心がけたことも功を奏し、同書籍はベストセラーに。関連書籍も発売し、2022年には「世界最高の話し方の学校」も立ち上げました。
元消防士という異色の経歴を持つBUSON氏は、SNSを活用してゼロから独学でイラストレーターとしての道を切り開いたチャレンジャー。2015年からInstagramにイラストを投稿し始め、研究を重ねるうちにSNSで人気を得るには「違和感」が重要だと気付いたBUSON氏。歴史上の人物を今風に描いて違和感を演出したところ、卑弥呼に対する反応が伸び始めた。そこから卑弥呼のキャラを日々投稿してフォロワーを拡大、紫式部をモチーフにした代表作の「しきぶちゃん」も誕生しました。
お2人のキャリアブレイクスルーへのアプローチはそれぞれ異なるものでしたが、目標達成に向けたたゆみない行動と研究の積み重ねは大きな共通点でした!
3rdセッション
クリエイターに送る「AI」との向き合い方
クリエイターに向けた「AI」に関するセッションも注目度を集めていました!登壇者は、「南国少年パプワくん」で著名な画家・漫画家の柴田亜美氏、THE GUILD 代表の深津貴之氏、Adobe Creative Cloudのエバンジェリストで「Creative Cloud道場」でもお馴染みの仲尾毅氏、日本人として初めて学生アカデミー賞を受賞して話題のCG映像作家の金森 慧氏の4名。
昨今、AIツールは著しいスピードで進化し、実用化が進んでいるので、クリエイターにとってもその影響が気になるところ。ポジティブな側面には、作業的な業務の効率性向上により、よりクリエイティブで本質的な仕事に時間が使えるようになることなどがある一方、ネガティブな側面としてはAIに仕事を奪われる不安、知的財産権の侵害など法律的な問題も指摘されていました。
「AIが浸透しても生き残るにはどうしたらいいか」という問いに対しては、柴田氏は「唯一無二の世界観を持つこと」、金森氏は「AIには作れないような本物を追求する」、深津氏は「“君でいい”ではなく、“君がいい”と指名される存在になる」、仲尾氏は「自信を持って自分はクリエイターであると思えること」と答え、会場へのエールを贈ってくれました。
また、知的財産権の侵害を防止するために、AdobeやOpen AI、Metaなどをはじめとするグローバル大手のプラットフォーマーやカメラ会社などが取組んでいる「コンテンツ認証イニシアチブ(CAI)」についての説明もありました。画像や動画ファイルのクリエイティブの来歴情報を追えるようにする仕組みで、誰がいつどんなツールでどのように加工したかが分かるようになるそうです。また、逆に、この作品は生成AIのインプット情報として使わないでほしいという宣言をするような仕組みも考案されているそう。テクノロジーに対抗するのはテクノロジー。技術の進歩に期待ですね。
実践的なワークショップも多数開催
ホールとは別会場のLIFORKでは、「独立・副業スターター講座」や「非クリエイターのためのcanva&miri canvas講座」「ワンランク上の『価格表』作りと価格交渉」など、フリーランスや副業をする人々の挑戦を後押しするようなワークショップも開催され、いずれも定員を上回り、立ち見まで出る盛況ぶりでした!
自分の専門スキルを活かした業務に加えて、営業やブランディング、事務作業など経営にまつわる多くの業務を一人で行わなければならないフリーランスや副業者が、まさに知っておきたい情報で参加者のメモも止まらないようでした。
さらに、整理券制で、簡易的な健康チェックや、ポイントヘアメイク・ポートレート撮影、キャリアや税務の個別相談、ベネフィットプランや保険に関するQ&Aブース、フリパラ編集部ブースなども展開。
これらのアクティビティもすべて無料ということで、終始にぎわっていました。
圧巻のパフォーマンスに釘付け、交流会も大盛況!
夜の部では、ダンサーやミュージシャンなどのアーティストもみんなフリーランス!ということで、IPFで初の試みとなるアーティストライブを開催。あの人気番組「ブリテンズ・ゴット・タレント」でゴールデンブザーを獲得したプロダンスチーム「CyberAgent Legit」のダンスパフォーマンスには、多くの参加者が釘付けに! 世界のダンスコンテスト・バトルで活躍する若手メンバーの熱気に引っ張られ、会場のボルテージは急上昇!!
続いて、DJであり華道家でもあるmaki AKAGIさん、日本にヒップホップを伝道した高木完さんによるDJパフォーマンスも。maki AKAGIさんはクールなダンスミュージックでフロアを盛り上げてくださいました。続いて完さんが登場し、小泉今日子さんと手がけるユニットの新曲が流れた時には、場内のその世代の人々から感嘆の声が。軽快なラップを繰り出す完さんのマイクパフォーマンスも、めちゃくちゃカッコよかったです!フリーランスパートナーシップアワードのファイナリストの社長さんや事務局メンバーも、思わずノリノリで踊っていました(笑)。
隣接会場で行われた交流会「スナック曲がり角」も、お一人様での参加者が多かったにもかかわらず、あちらこちらで話に花が咲いている様子が見られ、「スナック曲がり角が全国行脚しているのを見ながら、東京での開催を待ち侘びていた」というお声も多数聞かれました。
メンバーのアイデアが詰まったノベルティも注目!
今年はご来場くださるみなさんにお役に立てる&記念にしていただけるようなノベルティを考えたいということで、フリパラ編集部が渾身の『フリパラminiBOOK』を作ってくれました。また、協会メルマガを担当しているイラストレーターのたくまのりこが完全オリジナルカレンダーを作成!代表の平田からの無茶ぶりリクエストで、各月の一言メッセージも全部「のりこフォント」(手書き)で頑張りました。
フリーランスおみくじとチロルチョコ入りのガチャガチャも好評でした。
11月1日でフリーランス新法が施行され、私たちは自身を守る「盾」を手に入れ、働きやすい環境に向けて少し前進しました。
この法律が実現できたのも、会員やフォロワーのみなさんが良いことも課題も含め、フリーランスの実態を表す多様な声を寄せてくださったおかげです。本当にありがとうございます!
フリーランス協会は引き続き、「誰もが自律的なキャリアを築ける世の中へ」また一歩一歩活動を広げてまいります。
フリーランスを全力で応援するカンファレンスIndependent Power Fesは、来年も11月1日に開催しますので、またお会いできますことを楽しみにしております!
ご来場いただいた皆様もありがとうございました。よろしければ来場者アンケートやSNSでご感想をお寄せ頂けると嬉しいです。
撮影:鈴木江実子&事務局メンバー