プロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会

【プレスリリース】フリーランス・芸能関係者へのハラスメント実態アンケート調査結果

フリーランス・芸能関係者へのハラスメント実態アンケート
1,218名の切実な声が寄せられた調査結果を発表
フリーランスへのハラスメント防止対策等に関する要望書を厚生労働省に提出

日本俳優連合、MICフリーランス連絡会、およびプロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会は、日本国内で働いた経験のあるフリーランス(個人事業主、事務所所属の個人事業主、法人経営者、委託就労者、すきまワーカー、副業従事者を含む)を対象にアンケート調査を実施し、1,218名の有効回答を得ました。9月9日に、実態調査の結果と合わせて、政府への要望書を厚生労働省に提出いたしましたので、お知らせ申し上げます。

<<ダウンロードはこちらから>>

■記者会見資料(調査報告および要望書の解説)
質問票
調査報告書(グラフデータ)
調査報告書(自由記述まとめ)
フリーランスへのハラスメント防止対策等に関する要望書
■東洋大学 村尾准教授コメント
■プレスリリース

調査実施の背景

 2019年5月29日に、ハラスメント防止法等が成立し、労働者保護のための措置義務が事業者に課されました。しかし、フリーランスや求職者など雇用されていない人については法律に規定がなく、防止の配慮や措置の責任者が存在しない無法地帯となっています。相談窓口や支援制度は労働者が対象であるため、フリーランスは門前払いになることも珍しくありません。そこで、2019年9月以降の労働政策審議会雇用環境・均等分科会において、指針等という形で必要な防止措置が講じられることになっています。

 6月21日には、国際労働機関(ILO)が「仕事の世界における暴力とハラスメント」に関する条約および勧告を賛成多数で採択しました。この条約はフリーランスを含む働く全ての人を対象としています。日本もILO加盟国の一員として、ハラスメントによる人権侵害を根絶すべく、条約の批准と国内法の整備が求められています。

 私たちは、本調査が、適切な防止対策が定められるきっかけとなることを願っています。

調査結果ハイライト(ハラスメント被害経験に関する自由記述より)

Q7.あなたは下記のいずれかのハラスメント を受けたり見聞きしたことがあると思いますか?(複数回答可/n=1,216)

「パワーハラスメントを受けたことがある」と答えた人は61.6%、「セクシュアルハラスメントを受けたことがある」と答えた人は36.6%、「その他のハラスメントを受けたことがある」と答えた人は18.1%

(パワハラ、セクハラ、マタハラ、SOGIハラなど何らかのハラスメントを自身が受けたことがある人の合計は882名で回答者全体の72.5%)

Q8.もし宜しければ差し支えない範囲で、どのようなハラスメントだったのか具体的に教えてください。(自由記述/n=645) ※回答者全体のうち52.9%が回答した

Q8ワードクラウド
Q8.ハラスメント被害経験(自由記述)のワードグラウド
(ユーザーローカル テキストマイニングツール https://textmining.userlocal.jp/ で分析)

<回答例>

〇殴られたり蹴られたり、翌日は病院に行き休んだ日もあった。(男性30代、映像制作技術者)

〇イラストの権利を主張した際、金の亡者と言われ謝罪させられた。それからも、執拗に媚びるよう強要され、人格否定に相当する言葉も長期間にわたって言われた。(女性20代、イラストレーター)

〇プロジェクト進行に伴って様々な事情から、契約時に説明を受けた業務内容とは違う無理な作業を依頼されて断ると、プロジェクトが頓挫した場合は損害賠償を請求すると、その作業を実施するよう怒鳴りつけて強要された。赤字になるという理由で、先方から請求額を減らすよう弁護士をちらつかせて脅された。(男性30代、ITエンジニア)

〇取引先に私的な交際を迫られ、それでも仕事の関係者なのでやんわりとお断りしましたところ、逆上され毎日ひどいメールを送り付けられた。こちらも応戦せざるを得なくなると、色んな理由を付けてお金を支払ってくれなかった。(女性40代、広報)

〇社長から打ち合わせ後にホテルのバーに連れていかれました。早めに帰ろうとしたら、手を握られました。拒否して帰りましたが、以来、それまでべた褒めだった私の原稿をことごとくけなすようになりました。(女性20代、脚本家)

〇編集者に漫画(仕事)の話として飲みに誘われたが、自分の男性性アピール(「妻も子もいるが自分はまだ男としてイケると思う」、こちらに視線を向けながら好みのAVシチュエーションを語られる、等常識のない対応を受けた。(女性20代、漫画家)

〇元大学教授の財団理事長から、ヒアリングの場所を、日帰りの難しい距離にある別荘を指定された。双方の仕事場が都内にあるのに、毎回、別荘以外では会わないと電話で言われる。(女性40代、研究職)

〇主催者の自宅で稽古をすると言われて行ったら、お酒を飲まされて性的な行為をさせられた。(女性20代、女優)

〇性的な関係を迫られてお断りしたら、知らないうちに周りに「あいつは女癖が悪い」と噂を流され、結果仕事を振られなくなった。(男性30代、声優)

〇打ち合わせと称して、ホテルに呼び出されてレイプされた。その後、数ヶ月の軟禁。公私ともにDV・連日のレイプでボロボロに。(女性40代、映像制作技術者)

〇会社は特定のフリーランスに権力を持たせて他の一般フリーランスに対して管理職の役割も負わせているため、フリーランス同士にもパワハラなどが発生しやすい土壌が作られている。そのくせ、事が起きたときに訴えても会社は自分とこの従業員の加害ではないからという理由で無視する。(その他50代、編集者)

〇芸能関係の仕事では、フリーのスタッフや色々な会社の人間が集まっているので、責任の所在が曖昧で、全体を管理、統括する人間がいないため、ハラスメントがまかり通っています。特に組のトップである監督が加害者の場合、誰も口出しをできません。(女性30代、映像製作技術者)

調査概要

調査タイトル:フリーランス・芸能関係者へのハラスメント実態アンケート
調査対象:日本国内で働いた経験のあるフリーランス(個人事業主、法人経営者、委託就労者、すきまワーカー、副業従事者を含む)※個人事業主には、事務所所属の個人事業主を含む
調査期間:2019年7月16日~8月26日
調査手法:インターネット調査
設問数 :全18問
回答者数:回答被験者数:1,222名(有効回答者数:1,218名、重複回答者数:4名)

添付資料①調査結果を踏まえた政府への要望内容サマリー

日本俳優連合、MICフリーランス連絡会、およびプロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会は、201999日に、根本匠 厚生労働大臣、厚生労働省雇用環境・均等局雇用機会均等課および在宅労働課、そして労働政策審議会雇用環境・均等分科会委員の皆さま宛の要望書を、厚生労働省へ提出いたしました。原本は、フリーランスへのハラスメント防止対策等に関する要望書をご参照ください。

調査結果を踏まえた政府への要望内容サマリー

添付資料② 調査主体 団体概要

■日本俳優連合について
協同組合日本俳優連合は、「日俳連(にっぱいれん)」と呼ばれ、約2,600名の俳優や声優が加入しています。俳優は一人一人がTV局や制作者と対等に出演契約を結ぶことは残念ながら難しいのが現状です。日俳連は、俳優が安心して活躍できる環境づくりのために、協同組合法で認められている団体交渉権を生かして、NHK、民放、製作会社との間で出演条件や安全対策等の団体協約を締結しています。

・団体名 :協同組合日本俳優連合
・URL  :https://www.nippairen.com/
・理事長 :西田敏行
・所在地 :東京都新宿区西新宿6-12-30 芸能花伝舎3F

MICフリーランス連絡会について
MICフリーランス連絡会は、日本マスコミ文化情報労組会議(略称MIC)の中に設けられた連絡会で、マスコミ業界で働くフリーランスの就労環境・待遇改善に向けて活動をしています。
MICは新聞、印刷、放送、出版、映画、広告、音楽、コンピュータそれぞれの労働組合の連合会、協議会等で構成された組織です。平和と民主主義の課題をはじめ、各産業の発展とマスコミ関連労働者の権利・労働条件の向上のために賃金問題プロジェクト、時短・労働問題委員会などさまざまな活動を行っています。

・団体名 :MICフリーランス連絡会
・座長  :緒方承武
・所在地 :東京都文京区本郷4‐37‐18 いろは本郷ビル2F

<MIC構成組織>
映画演劇関連産業労組共闘会議(映演共闘)
全国印刷出版産業労働組合総連合会(全印総連)
日本新聞労働組合連合(新聞労連)
全国広告関連労働組合協議会(広告労協)
日本民間放送労働組合連合会(民放労連)
日本音楽家ユニオン(音楽ユニオン)
日本出版労働組合連合会(出版労連)
電算機関連労働組合協議会(電算労)
映画演劇労働組合連合会(映演労連)

■一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会について
「誰もが自律的なキャリアを築ける世の中へ」というビジョンを掲げ、自分の名前で仕事をしたい人のためのインフラ&コミュニティ。年会費1万円で賠償責任補償や所得補償制度、各種優待が使えるベネフィットプラン(福利厚生制度)の提供のほか、キャリア支援プロジェクト、ジョブ創出プロジェクト、パーソナルスコアリングプロジェクト、地方創生プロジェクト、子育て支援プロジェクト、フェアパートナーシッププロジェクトなど、様々なプロジェクトが進行し、実態調査や政策提言、多彩なイベント運営等を行っています。
フォロワー総数15163名、一般会員数2604名、賛助企業180社(2019年9月1日現在)

・団体名 :一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会
・URL  :https://www.freelance-jp.org
・代表理事:平田麻莉
・設立日 :2017年1月26日(同年4月20日に一般社団法人化)
・所在地 :東京都中央区 八重洲2-8-7 福岡ビル4F DIAGONAL RUN TOKYO内

 

本件に関するお問い合わせは、フリーランス・芸能関係者へのハラスメント実態アンケート事務局  no-hara@freelance-jp.org までお願い申し上げます。※2021年4月1日以降のお問い合わせは pr@freelance-jp.org  にお願いいたします。

検索

新着記事

人気記事