インボイス制度施行直前の9月29日に開催された関係閣僚会議の議事要旨が公開されました。(会議の動画視聴はこちら)
その中での閣僚からのコメントと提出資料から、フリーランスが知っておきたいトピックスをピックアップしてご紹介します。
他のみんなはどうしてる?インボイスの登録申請状況(9月15日時点)
インボイス登録申請件数は、9月15日時点の速報値で約403万件。
免税事業者で申請済みなのは約111万者だそうです。これは、インボイス登録の検討対象となる免税事業者160万者*のうち約7割にあたります。7月末時点の92万者(登録検討対象の約6割)から、1割程度増加したようです。
*免税事業者総数460万者のうち、インボイス登録が不要な農業従事者やBtoC事業者を除く
価格転嫁の環境整備を
経済産業副大臣から「消費税の取引価格への反映が必要な場合を含め、中小企業・小規模事業者が発注事業者に適切に価格転嫁できる環境整備も重要である。引き続き公正取引委員会と密に連携し、価格転嫁対策を粘り強く継続していきたい」というコメントがありました。
免税事業者から課税事業者になってインボイス登録をした人にとっては、価格転嫁(新たに発生する納税負担を取引価格に上乗せし反映すること)できるかどうかが死活問題です。政府として、弱い立場におかれがちなフリーランスや小規模事業者の価格転嫁支援にコミットする姿勢が明示されたのは何よりでした。有言実行を期待します。
免税事業者への値下げ、取引停止、インボイス登録の強要には要注意
公取はこれまで、独禁法・下請法(買いたたき等)に関して寄せられた相談約3,000 件に対応したそうです。また、価格転嫁の円滑化に関する書面調査から発覚した、独禁法違反(優越的地位の濫用)につながるおそれのある事案は35件に上り、公取から注意を受けたとのこと。
公取では引き続き、「インボイスQ&A」の積極的な周知などを通じて、違反行為の未然防止を図るとともに、独占禁止法や下請法に違反する行為に厳正に対処していくとしています。
思い当たる節がある方は、こちらのサイトの「4 インボイス制度に関する相談窓口」までご相談ください。
※参考:消費税のインボイス制度における売手・買手の留意点と免税事業者との取引条件を見直す場合の留意点
フリーランス協会では、今年2~3月に展開した報酬適正化キャンペーン「インボイス2%~アクション」をはじめ、報酬適正化に向けた価格転嫁と、買いたたき等法令違反になり得る事例の取り締まりの重要性を提言し続けています。
人出不足の中、優秀なフリーランス人材と取引するには適正な報酬を支払わなければならないという感度をもって、新たな課税事業者になったフリーランスの報酬値上げや、免税事業者への報酬据え置きを方針とする企業もたくさんあります。
そうした企業もあるということを、私たちフリーランス自身が今一度、認識し、取引相手を取捨選択していくことも必要なのかもしれませんが、やはり企業組織に対する個人の立場は相対的に弱くなりがちなので、政府からも力強く価格転嫁をリードしていって頂きたいです。