フリーランス・経営者として働く女性のうち44.8%が「産後1ヶ月以内に仕事を開始」
フリーランス・経営者の妊娠、出産、子育てに関する調査結果を発表
フリーランスとパラレルワーカーの非営利支援団体「一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 」(東京都中央区、代表理事 平田麻莉、以下「フリーランス協会」)は、有志の女性経営者らとともにワーキンググループ「雇用関係によらない働き方と子育て研究会」を組成し、昨年12月に、20~50 歳までのフリーランスまたは法人経営者等であり、雇用関係にないため産休・育休を取得できず、働きながら妊娠・出産・育児をした経験のある女性を対象に緊急アンケート調査を実施しました。
また本日、調査結果と政府に対する要望を厚労省記者クラブで発表しました。要望に対する賛同を呼びかけるChange.orgの署名キャンペーン(http://www.change.org/working-and-parenting)は、賛同者が1万人に迫る勢いです。
私たちフリーランスや経営者、士業従事者、議員など雇用されずに働く女性たちは、自ら覚悟してこの働き方を選んでいます。“仕事上のリスク”は当然取るつもりです。しかし、“生命・身体のリスク”までは取りようがありません。
この問題こそが、労働人口不足や少子化の対策として政府が打ち出す「一億総活躍」や「働き方の多様化」の推進を阻害するボトルネックになっているとは考えられないでしょうか?
妊娠・出産・子育てに伴うセーフティネットは、働き方に関わらず、誰もが利用できる公平な制度であってほしいと私たちは願っています。これから結婚出産する20代の女性たち、
■調査結果サマリー
- 母体保護の概念に反した早すぎる復帰(Q17)
仕事を継続している人の復帰タイミングは、産後2ヶ月以内が59.0%、産後1ヶ月以内でも44.8%。
- 産前産後の休業もなければ所得補償もない(Q10、Q11)
63.1%が扶養ではなく自身で健康保険料を納付しているが、出産手当金の給付を受けたのは僅か19.3%。(経営者やフリーランスの多くは「会社員と同等もしくはそれ以上の保険料」を「自力で」納めている。健康保険組合は出産手当金の給付が義務であるのに対し、国保は任意なことが問題。任意なことにより、殆どの国保が「給付逃れ」をしている。)
- 回答者の9割以上が求めるセーフティネット(Q23)
妊娠出産に伴うセーフティネットがないことについて、「雇用形態を問わず必要」「できればあった方が良い」の合計は、「産前産後の所得補償」が95.5%、「社会保険料の免除」が93.8%、「育休中の所得補償」が92.4%。
- 不利な保活の結果、保育園以外の託児サービスへの依存度が高い(Q21、Q22、Q25、Q26)
86.1%が「会社員女性より保育園入園が不利」だと実感。理由は「居住外就労より居住内就労のポイントが低くなる*」(55.3%)、「就労状況を自分で証明しないとならない」(44.7%)、「育休がないため自ら仕事をセーブした状態で保育園の申請をすることによりポイントが低くなる」(43.8%)など。(*2017年12月に内閣府・厚生労働省より全国の自治体に改善を呼びかける通知がなされた)
その結果、一時保育利用者が44.2%、ベビーシッター利用者が26.9%、地域のファミリーサポート利用者が23.5%と、保育園以外の託児サービスへの依存度が高い。全体の29.2%が月額5万円以上の出費を強いられている。
■調査の背景
現在国内には550万人の女性フリーランス*1、37万人の女性経営者*2がいると言われます。会社員(一定の要件を満たした派遣・パートなどの非正規社員含む)などの被雇用者と、フリーランスや経営者などの雇用関係によらない働き方の従事者は、出産・育児に際してもらえるお金と出費に約300万円の差があります*3。
*1:2017.3.31 ランサーズ「フリーランス実態調査2017」
*2:2017.11.29 東京商工リサーチ:第7回「全国女性社長」調査
*3:昨年末の年金改革法(平成28年法律第114号)成立により、2019年4月から国民年金第一号被保険者も、産前産後期間(出産予定日の前月から4ヶ月間)は国民年金保険料が免除されます。ただし、国民健康保険料、介護保険料は依然として納付の必要があります。
■調査の概要
【調査期間】 2017年12月19日~31日(12日間)
【有効回答数】353件(回答数364件)
【対象】現在20~50 歳までのフリーランスまたは法人経営者等であり、雇用関係にないため産休・育休を取得できず、働きながら妊娠・出産・育児をした経験のある女性
※フリーランスとは、特定法人との雇用関係にない働き手を意味する。個人事業主はもちろん、開業届を出さずに個人で仕事をしている方も含む。
※パート・アルバイトなど非正規を含め雇用関係にある方は本調査対象には含まない。
※フリーランスまたは法人経営者として働く間に複数回妊娠・出産をされた方は、一番辛い経験をされたと思う妊娠・出産について回答。
■調査の結果
・注目すべきデータと政府への要望書
20180222_要望書【雇用関係に依らない働き方と子育て研究会】
・全回答
20180222_調査 全回答データ【雇用関係に依らない働き方と子育て研究会】
・自由回答
20180222_調査 自由回答【雇用関係に依らない働き方と子育て研究会】
■政府への要望内容と署名キャンペーン ご紹介のお願い
雇用関係によらない働き方と子育て研究会は、調査結果をふまえ、皆さんのご賛同と共に政府に以下を求めます。
- 産前産後休業中のセーフティネット
・被雇用者の産前産後休業期間と同等の一定期間中は、社会保険料を免除してください。
・出産手当金(出産に伴う休業期間中の所得補償)は、国民健康保険では任意給付となっていますが、一定以上の保険料を納付している女性には支給してください。
- 保育における公平性の担保
・会社員と同様かそれ以上の労働時間であれば、保育園の利用調整においてどの自治体においても被雇用者と同等の扱いをしてください。
・認可保育園の利用料を超える分は、国や自治体の補助が受けられるようしてください。それが難しければ、ベビーシッター代を必要経費もしくは税控除の対象として下さい。
※引き続き、署名の呼びかけを行っております!ぜひご賛同、拡散をお願い申し上げます。
「フリーランスや経営者も妊娠・出産・育児しながら働き続けられる社会の実現を応援してください!」
http://www.change.org/working-and-parenting
■雇用関係によらない働き方と子育て研究会について
雇用関係によらない働き方をするフリーランスや経営者を含む、すべての女性が安心して妊娠・出産・子育てしながら働き続けられる社会の実現を目指し、有志のフリーランスや女性経営者、弁護士などの当事者からなる市民団体です。
<発起人>
・株式会社natural rights 代表取締役 小酒部さやか
・一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 代表理事 平田麻莉
・一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 理事 中山綾子
・第二東京弁護士会 労働問題検討委員会 社会保障部会 塚本健夫(弁護士)
・株式会社wip 取締役 神田沙織
・希望するみんなが保育園に入れる社会をめざす会 代表 天野妙
・アユワ株式会社 代表取締役 渡部雪絵
<呼びかけ人>
・サイボウズ株式会社 代表取締役社長
青野慶久
・NPO法人ファザーリング・ジャパン 代表理事
ライフシフト・ジャパン株式会社 代表取締役社長
安藤哲也
・株式会社CAMPFIRE 代表取締役
家入一真
・有限会社アイズプラス 代表取締役
NPO法人インディペンデント・コントラクター協会 理事
池照佳代
・発行土地建物株式会社 代表取締役
池端美和
・株式会社MANABICIA 代表
育キャリカレッジ 代表
池原真佐子
・株式会社OMOYA 代表取締役社長
一般社団法人at Will Work 理事
猪熊真理子
・社会学者
上野千鶴子
・株式会社グローバルステージ 代表取締役
一般社団法人日本ワーキングママ協会 代表理事
株式会社コメ兵 社外取締役
大洲早生李
・一般社団法人営業部女子課の会 代表理事
太田彩子
・合同会社こどもみらい探求社 共同代表
小笠原舞
・株式会社プロノバ 代表取締役社長
グロービス経営大学院 教授
アステラス製薬株式会社 社外取締役
株式会社丸井グループ 社外取締役
ランサーズ株式会社 社外取締役
株式会社セプテーニ・ホールディングス 社外取締役
株式会社リンクアンドモチベーション 社外取締役
岡島悦子
・合同会社カレイドスタイル 代表
女性フリーランスのためのコミュニティサイト「リズム―ン」編集長
小野梨奈
・NPO法人チルドリン 代表理事
蒲生美智代
・一般社団法人構想日本 代表
加藤秀樹
・NPO法人コヂカラ・ニッポン 代表
川島 高之
・株式会社Waris 代表取締役/共同創業者
河京子
・株式会社ワーク・イノベーション 代表取締役
菊地加奈子(特定社会保険労務士)
・NPO法人ファザーリング・ジャパン 理事
マザーリングプロジェクト 代表
株式会社ブライト・ウェイ 育児情報誌「miku」編集長
高祖常子
・合同会社こどもみらい探求社 共同代表
小竹めぐみ
・認定NPO法人フローレンス 代表理事
駒崎弘樹
・株式会社Will Lab 代表取締役
小安美和
・NPO法人Himemama 代表理事
坂上愛佳
・株式会社ikunoPR 代表取締役
笹木郁乃
・株式会社チェンジウェーブ 代表
佐々木裕子
・株式会社iSGSインベストメントワークス 取締役 代表パートナー
佐藤真希子
・ランスタッド株式会社 取締役最高人材活用責任者
志水静香
・ジャーナリスト
治部れんげ
・少子化ジャーナリスト
相模女子大客員教授
白河桃子
・株式会社HASUNA 代表取締役
白木夏子
・新保公認会計士事務所 代表
新保謙輔(公認会計士・税理士)
・港区議会議員
清家あい
・丸の内の森レディースクリニック 院長
宋美玄
・株式会社ベアーズ 取締役副社長
家事研究家
日本の暮らし方研究家
高橋ゆき
・ハフポスト日本版 編集長
竹下隆一郎
・調理師
ハウスキーパー(タスカジ)
タサン志麻
・株式会社Waris 代表取締役共同創業者
プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 理事
田中美和
・株式会社ママハピ 代表取締役
谷平優美
・株式会社キッズライン 代表取締役社長
経沢香保子
・パワーママプロジェクト 共同代表
椿奈緒子
・衆議院議員 希望の党所属
寺田学
・シンクタンク研究員
中村天江
・SHE株式会社 代表取締役
中山紗彩
・株式会社manma 代表取締役
新居日南恵
・株式会社HARES 代表取締役
西村創一朗
・働き方改革総合研究所株式会社 代表取締役
新田龍
・BUSINESS INSIDER JAPAN 統括編集長
AERA前編集長
浜田敬子
・一般社団法人at Will Work 代表理事
藤本あゆみ
・ストリートアカデミー株式会社 代表取締役
藤本崇
・株式会社天使のたまご 代表取締役
藤原亜季
・ジャーナリスト
堀潤
・俳優
松尾貴史
・NPO法人Fine 理事長
松本亜樹子
・有限会社モーハウス 代表取締役
NPO法人子連れスタイル推進協会 代表理事
光畑由佳
・江東区議会議員
三次由梨香
・株式会社ココナラ 代表取締役
南章行
・フリーランス
PR・広報コンサルタント
宮﨑晴美
・くらしと仕事 編集長
やつづかえり
・認定NPO法人マドレボニータ 代表
吉岡マコ
・株式会社Waris 代表取締役共同創業者
米倉史夏
・株式会社morich 代表取締役
森本千賀子
・株式会社タスカジ 代表取締役
和田幸子
(五十音順)
■一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会について
ワーカーによるワーカーのための非営利フリーランス支援組織。①互助の場づくり(コミュニティ形成、スキル&キャリアアップ支援)、②共助の仕組みづくり(ベネフィットプランの提供)、③公助への働きかけ(実態調査に基づく政策提言、官民連携施策)を活動の柱とし、一人ひとりが自分らしい働き方を選択できる社会を実現することを目指しています。メルマガ会員数4500名、一般会員数660名、賛助企業74社。(2018年2月22日現在)
・法人名:一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会 https://www.freelance-jp.org
・代表者:代表理事 平田 麻莉(ひらた まり)
・設立日: 2017年1月26日(同年4月20日に一般社団法人化)
・所在地:〒103-0028 東京都中央区 八重洲2-8-7 福岡ビル4F DIAGONAL RUN TOKYO