協同組合日本俳優連合、日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)フリーランス連絡会、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会の三団体は、2019年10月21日に開催された第20回厚生労働省労働政策審議会雇用環境・均等分科会において出された、「職場におけるパワーハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等に関する指針の素案」(以下、指針案)に対し、緊急声明を出しました。
1,218名が回答したフリーランス・芸能関係者へのハラスメント実態アンケート調査によると、パワハラ、セクハラ、マタハラ、SOGIハラなど何らかのハラスメントを自身が受けたことがある人の合計は882名で回答者全体の72.5%に上りました。調査結果を受けて、9月9日にフリーランスへのハラスメント防止対策等に関する要望書を厚生労働省および労働政策審議会雇用環境・均等分科会委員各位宛てに提出し、数多くのメディアに報じられました。
しかしながら、9月18日に開催された第18回労働政策審議会雇用環境・均等分科会では、我々のアンケート調査結果を引用しながらフリーランスや就活生に対するハラスメント防止措置を求める各界の労働者サイドと、経営負担増を理由にあくまで防止措置の対象は従業員に留めるべきだという経団連や商工会議所など使用者サイドの意見が、真っ向から対立しました。(委員名簿はこちら)
要望書への賛同を求める署名には10月19日時点で8,777名の賛同が集まり、厚生労働省へ提出しておりますが、それでもなお、今回の指針案では要望書の内容はほぼ反映されない結果となり、非常に残念に思っております。
フリーランスを活用する企業にとって分かりやすく、実効性のあるハラスメント防止措置を講じてもらえるよう、引き続き署名を集めたいと思います。ぜひ賛同、拡散のご協力をお願い申し上げます。
フリーランス・芸能関係もハラスメント防止法の対象としてください! https://www.change.org/stop-harassment
「職場におけるパワーハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等に関する指針の素案」に関する緊急声明
2019年10月23日
協同組合日本俳優連合
日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)フリーランス連絡会
一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会
2019年10月21日、厚生労働省労働政策審議会雇用環境・均等分科会において、「職場におけるパワーハラスメントに関して雇用管理上講ずべき措置等に関する指針の素案」(以下、指針案)が出されました。この中の「6 事業主が自らの雇用する労働者以外の者に対する言動に関し行うことが望ましい取組の内容」のところに、以下の文言が入りました。
〇事業主は、当該事業主が雇用する労働者が、他の労働者のみならず、個人事業主、インターンシップを行っている者等の労働者以外の者に対する言動についても必要な注意を払うよう配慮するとともに、事業主自らと労働者も、労働者以外の者に対する言動について必要な注意を払うよう努めることが望ましい。
〇こうした責務の趣旨も踏まえ、事業主は、パワーハラスメントを行ってはならない旨の方針の明確化等を行う際に、当該事業主の雇用する労働者以外の者に対する言動についても、同様の方針を併せて示すことが望ましい。
「フリーランスへの言動について注意を払う」という文言が入ったことは一歩前進ですが、これでは実効性あるハラスメント対策とはなりえません。以下の問題点を指摘し、修正を求めます。
1、参議院附帯決議十五では、フリーランスへのハラスメントを防止するため、「指針等で必要な対策を講ずること」と書かれています。「対策」とは、問題状況に対してとる方策(手段)ですから、その方策を具体的に示す必要があります。しかし、指針案には「方針の明確化を行う際にフリーランスも含める」こと以外の具体的な対策が書かれておらず、実際にフリーランスへのハラスメントが行われた場合にどう対応すればよいのかなど、事業主にとってもわかりづらい内容となっているのではないかと思います。
2、同附帯決議九では、「2 自社の労働者が取引先…等に対して行ったハラスメントも雇用管理上の配慮が求められること」を明記することと書かれています。つまり、指針案「4 事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関し雇用管理上講ずべき措置の内容」をフリーランスへの配慮義務として指針に明記する必要があるということです。「雇用管理上講ずべき措置の内容」には、①方針等の明確化、周知、②相談体制の整備、③事後の迅速かつ適切な対応、④プライバシー保護、不利益取り扱いの禁止などがありますが、指針案では、フリーランスに対しては「方針の明確化」しか入っていません。フリーランスは、労働局など行政の窓口も使えない状況で、現状では相談先がありません。それが、フリーランスがハラスメントに対して声をあげられない原因の一つであることが、私たちの実態調査で明らかになっています。相談体制の整備を含む上記4点は、フリーランスへのハラスメント対策として必要不可欠のものです。
3、同附帯決議二十一には、「第三者に対するハラスメントに関わる対策の在り方について、検討を行うこと」と書かれています。審議を拙速に進めず、フリーランスを含む第三者に対する実効性あるハラスメント対策について、この先も時間をかけて議論をすることを要望します。
内閣府の調査では、フリーランスは副業も含めて341万人といわれています。今後も増えるであろうフリーランスの就業環境を整えるためには、ハラスメント問題への対処を欠くことはできません。衆参両院の附帯決議を適切に反映させた指針となることを求めます。