働き方の多様化でフリーランスの社会保険はどうなる? 制度改革の第一歩をめざして、代表・平田がヒアリングを受けてきました!

今年4月、小泉進次郎さんが「勤労者皆保険」を提言して話題になりましたが、働いている人全てに十分な社会保障が行き渡っていないことは、あまり知られていないことなのかもしれません。

フリーランスになってはじめて、「フリーランスでも入れる健康保険組合がない」「病気になって仕事を辞めても失業手当がない」という状況に直面する人も。フリーランスの多くが直面する「社会保険問題」ですが、実は今それが変化の時期を迎えています。

 

昨年12月に厚生労働省で立ち上がった、「働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会」では、関係各社によるヒアリングが複数回開催され、数年後の制度改正に向けて、現場からのヒアリングを4月までに計5回行われています。

たとえば、2016年10月から小売や外食業界では、パートやアルバイトなど短時間労働者の厚生年金保険・健康保険(社会保険)の加入要件が緩和されたのですが、それによって働き手は増えたのか減ったのか、労働時間は長くなったのかそれとも短くなったのか、などを、業界団体が国に報告し、どんな負担が増えそうかなどを質疑応答しています。

そんな中、3月12日の懇談会では、フリーランス協会代表理事の平田が、ヒアリングを受けてきました!

多様化の流れで宙に浮く「フリーランスの社会保障」

イベント資料

いま社会保障について議論の中心になっている最大のテーマは、パート・アルバイト社員など短時間労働者に対しての適用拡大です。

その一方で、働き方改革や副業拡大という多様化の流れの中で急激に増加しているフリーランスに対する社会保障をどうするか、という新しい課題も持ち上がりつつあります。

「フリーランス」といっても、フリーランス協会では大きく分けて2つのパターンに類型しています。まず一つは、業務委託契約などを結んでいる経営者や個人事業主などの小規模事業者、すきまワーカーなど雇用契約のない「独立系フリーランス」。

もう一つは、どこかの企業で雇用されつつ起業したり他の会社でアルバイトしたりする「副業系フリーランス」です。今回の懇談会では、「フリーランス」と社会制度について、説明させていただきました。

「プロフェッショナルな働き方・フリーランス白書2019」によると、会社員時代に比べてフリーランスとして独立した結果「満足度が上がった」が83.0%、「働く時間が減った」が59.9%と、ワークライフバランスに良い影響を与えていることがわかりました。

その半面、フリーランスや副業など新しい働き方を日本で選択するために必要なものとして、「出産・育児・介護などのセーフティネット(休暇や所得補填)」が63.6%、「健康保険組合」が59.6%、「厚生年金」が52.0%など、社会保障に紐づく項目に回答が集中することに。

あまり知られていませんが、独立系フリーランスの社会保障は、非正規社員よりもずっと薄弱です。たとえば、非正規社員であっても、労災保険や健康保険組合へ加入できますし、失業保険や育児休業給付、厚生年金や育児・介護休業も受け取れるケースも少なくありません。

ですが、フリーランスの場合は国民健康保険と国民年金のみであり、ライフリスクについての保障はかなり薄いものになっています。

これに対してフリーランス協会では、ベネフィットプランとして年1万円で自動付帯の賠償責任保険、健康診断や人間ドックの優待が受けられる福利厚生的サービス「WELBOX」への加入、任意で所得補償制度や各種優待が受けられるなど、フリーランスが不安なく働けるための環境づくりを行っています。

その取り組みについても、平田から構成員の方々にお伝えしました。また、副業系フリーランスについても多様化が進んでおり、たとえば複数の会社に雇用された場合はどの会社の社会保険に入るべきか、といった問題が現場で生じてくることもありえるようです。

構成員の方々からは、「労災や厚生年金など課題がいろいろある中で、どこから手をつけるべきか」「法人成り(個人事業主が法人化すること)で解決できないか」「フリーランスはどのような属性の人が多いのか」など、さまざまな質問が上がりました。

この懇談会は、働き方の多様化を踏まえた今後の社会保障の制度改革の第一歩になります。「現在は、まだ短時間労働者への社保適用拡大が争点で、フリーランスなど多様な働き方への対応はようやく関心を持ち始めていただいたところです。

それだけでも大きな一歩だという自負や感謝はあるものの、政策が動いていくところまではまだまだ長い道のりになりそうです。諦めずに粘り強く、会員の皆様の声を届けていきたいと思います」。(平田)

日本全体の社会保障がこの数年で大きく動くのは間違いなさそう。その流れの中で、フリーランスの社会保障についても議論が進んでいくと思われますが、世間の関心はまだまだ高くありません。

まずはフリーランスとして働く私たち一人一人が関心を持ち、フリーランス以外の人々に対しても現状について発信していくことが必要になるのかもしれませんね。
フリーランス協会も、小泉進次郎さんに直接お会いして課題を共有したり、この社会課題に全力で取り組んでまいりますので、ぜひご支援をお願いいたします!

「第3回働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会」当日の議事録はこちら

【編集部追記】

5月14日に行われた自民党の人生100年時代戦略本部の会議にて、「人生100年時代の社会保障改革ビジョン」がとりまとめられました。雇用形態を問わずに社会保険に加入できる「勤労者皆社会保険」の実現などの内容が盛り込まれているそうです)。

参考記事はこちら「自民党人生100年本部 社保改革ビジョン了承 骨太への反映目指す」

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