プロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会

【新型コロナ関連】個人事業主100万円、法人200万円!「持続化給付金」まるわかり

4/27 追記:持続化給付金の給付要件、申請方法の詳細が公表されました。補正予算成立後、速やかに申請受付が開始されます。スムーズな申請のため、こちらの解説記事をぜひご一読ください。

こんにちは、ヒラマリです。緊急事態宣言が出て初めての週末、いかがお過ごしでしょうか。

4月7日の緊急事態宣言は、一部では遅すぎるという批判にも晒されつつ、政府は(「緊急」という表現に違和感を覚えるレベルの)慎重な根回しを行い、108兆円規模の経済対策を用意した上での宣言となりました。

中でも注目を集めたのが、個人事業主は100万円、法人は200万円がもらえるという「持続化給付金」です。こちらの記事では、公表される最新情報を随時更新していきます。

無料会員登録ボタン

◎制度の概要と要件

持続化給付金は、感染症拡大の影響で大打撃を受けている事業者やフリーランスが、事業を継続させ、再起の糧とするための事業資金として支給される給付金です。

「2019年の総売上(事業収入)」-「 前年同月比で売上が50%以上半減した、2020年の任意の月売上×12か月」の差額を上限として中堅・中小企業・小規模事業者に200万円個人事業主に100万円が給付されます。医療法人、農業法人、NPO法人なども幅広く対象となります。

申請開始に備えて、(4月17日以降も申告可能になったとはいえ)2019年度の確定申告は早めに済ませておきましょう&今年の帳簿もしっかり付けておきましょう。(当然ですが、虚偽報告で給付を受けると詐欺罪となりますので、正確に!)

なお、持続化給付金の申請にGビズID取得が必要とのデマが流れているようですが、経産省は「GビズID取得は給付条件ではありません。GビズID取得に必要な書類入手のための外出は不要です。その他詳細は決定次第公表します。」と公式Twitterで注意喚起しています。

自身が該当するかどうか不安な方もいらっしゃるかと思いますが、フリーランス協会からは「契約書がない人」「昨年4月時点で開業してなかった人」「収入の季節変動・月変動が激しい人」もきちんと救える配慮をお願いしています。

「え、本当に良いんですか?」とこちらが二度聞きしてしまうくらい、戦後最大の緊急事態を「なりふり構わず救う」という強い意志と親身・真摯な姿勢で検討されていますので、今しばらく公式発表を待ちましょう。

※4/13追記

持続化給付金パンフレットが公開されました!

<支給対象>
・新型コロナウイルス感染症の影響により、売上が前年同月比で50%以上減少している者
・資本金10億円以上の大企業を除き、中堅企業、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者を広く対象とします
医療法人、農業法人、NPO法人、社会福祉法人など、会社以外の法人も幅広く対象となります。

<前年同月比▲50%月の選び方>
2020年1月から2020年12月のうち、2019年の同月比で売上が50%以上減少した任意のひと月を、事業者が選択できます。

<申請に必要な情報>
法人:①法人番号、②2019年の確定申告書類の控え、③減収月の事業収入額を示した帳簿等
個人:①本人確認書類、②2019年の確定申告書類の控え、③減収月の事業収入額を示した帳簿等
※③の様式は問いません。今後、変更・追加の可能性があります。

これが何を示しているかというと、2019年に開業・法人設立して確定申告している方であれば、創業後1年経っていなくても対象となりますのでご安心ください。
収入実績や減収を示すために契約書は不要です。契約書がない方もご安心ください。

<申請方法>
Web申請を基本とし、必要に応じて完全予約制の申請支援(必要情報入力等)を行う窓口を順次設置します。
※申請にあたり、GビズIDを取得する必要はありません。

<申請・給付の開始>
具体的な申請方法や必要事項は、4月24日を目途に確定、公表される見込みです。
補正予算成立後、1週間程度で申請受付を開始します。電子申請の場合、申請後、2週間程度で給付することを想定しています。

◎世界最大規模の事業者向け現金給付

この給付金は、文字通り、日本の歴史上初めて事業者向け現金給付です。

私たちフリーランスは、個人事業主にしろ、”法人成り”した一人社長にしろ、政府統計上は「小規模事業者」と呼ばれています。事業者ですので、労働者と違って「休業補償」はありえません。ビジネスリスクを背負うのが自営業者の宿命です。そのことは、これまで政府がフリーランス支援や保護を進めてきた中で、我々からも何度も伝えてきていることです。

なので、私としても、自営業者に織り込み済みのビジネスリスクの範疇を超えた危機に対する「補償ではなく、救済措置」を強調しつつ、正直言ってハードルの高さをひしひしと感じながら、給付型支援を要請してきたわけです。

その上、フリーランスは口約束が横行しており契約書がないケースが散見されますし、昨年の確定申告実績は現在も働いていることの証明にはなりません。対象者の要件定義や「コロナ由来で失われた報酬額」の算定が難しい中で、不正受給やフリーライドを防ぎ、本当に困っている人に支援が行き渡るよう慎重な制度設計を、というのは結構な無茶ぶりの自覚がありました。

そうした前提を踏まえれば、事業者への現金給付が実現しただけでも相当画期的だと感じるし、これだけの金額になるとは正直期待以上で驚いています。(フリーランス協会が要請していた事業者向け給付金は、「2019 年度の確定申告実績に基づく平均月額所得の 80%程度」でした)

安倍首相は、持続化給付金だけで「総額6兆円を超える現金給付を行う」明言しています。これは事業者やフリーランスへの給付を行う数少ない国の中でも最大規模です。

アーティストへの休業補償で賞賛を浴びたドイツは、芸術・文化領域以外も含めた零細企業・自営業者に対する拠出総額が500億ユーロ(約6兆円弱)。在独アーティストの情報によると、州によってルールが異なり、生活資金として2000ユーロから5000ユーロ(約20万円~50万円)が全申請者に振り込まれた州もあれば、一定以上の事業経費がかかる人の債務不履行分に限定して事業資金を補填する州もあるようです。

イギリスでは、あらゆるコロナ対策全体で4兆円の事業規模。フリーランスを含む個人向けに、過去3年分の確定申告に基づき、上限2500ポンド(約33万円)で所得の8割を補償することとしており、その事業規模は2000万ポンド(約27億円)です。

カナダは、失業保険対象外のフリーランスや契約社員向けの緊急対応手当として、2000カナダドル(約15万円)が最大4ヶ月支給されます。

アメリカ香港のように、フリーランスに限らず一定条件に基づき国民に一律給付を行う国もありますが、いずれと比較しても、日本政府による事業資金だけで100万円、200万円という現金給付は大盤振る舞いに思えます。

◎100万円でフリーランスは救われるか?

なぜ一律給付ではないのかと不満に感じる方もいらっしゃるかもしれません。が、元来リモートワーク中心のビジネス系フリーランスの中には、特に減収が無い、むしろ仕事が増えているという人も少なくありません。また、個人事業主は拍子抜けするほど簡単な書類(開業届)を1枚出すだけで誰でもなれるので、実質休眠状態の個人事業主がごまんといます。法人登記も開業届ほど簡単ではないにしろ、休眠企業があるのは同様です。そうした実態を踏まえれば、あらゆる中小・小規模事業者に広く薄く一律給付を行うよりも、本当に困窮している人たちに手厚く給付する設計の方が順当ではないかと、私は考えています。

金額についても、「様々な固定費や生活費がかかるので200万円では足りない」「自分は高単価なプロ人材だから100万円なんて年収の3か月分にもならない」という方も、中にはいらっしゃるかもしれません。しかし、あくまで持続化給付金は、事業継続と再起を目的とした事業資金としての給付金です。他にも、個人事業主なら3000万円まで無利子・無担保で融資を受けられるような資金繰り支援税制措置が事業者支援パッケージとして用意されていますし、従業員を雇っている場合の人件費は雇用調整助成金でもカバーされます(雇用調整助成金はあまりに申請が大変過ぎるので、簡易化するという話が出ていますが)。生活資金の支援としては、1世帯30万円の「生活支援臨時給付金」や最大4ヶ月で80万円の「生活福祉資金貸付制度」を始め、こちらも沢山の施策があります。

何より、今は有事です。日本中、世界中のみんなが苦しい時です。しっかりアンテナを張って使える支援策をフル活用しつつ、頑張って働いて返せる人は返しましょう。政府は金のなる木ではなく、財源は我々自身の税金で、限りがあります。それが大前提だと思います。(ちなみに、対コロナで総額108兆円規模の財政出動の穴埋めは、これから私たちと私たちの子ども世代が担っていくことになるので、頑張らないといけませんね!)

とはいえ、各省庁が縦割りで情報発信するため全体像がパッケージとして見えにくい、自分に当てはまる支援策が分かり辛いという点で、政府広報には大いに課題があると思っています。フリーランス協会としても、なるべく噛み砕いて分かりやすく、自営業者・フリーランスの皆様向けに情報発信していくよう努めます。メルマガFacebookTwitterInstagramなどで、最新情報をぜひ入手してください。

◎経産省の事業者サポートLINE開設

政府広報の悪口を書いたところではありますが、それでも今回のコロナ対応では、どこの省庁も(過去との相対で見れば)随分と分かりやすい情報発信にアップグレードしていると感じます。今回のウイルスとの闘いは、ある意味、人々の行動が勝敗を分ける群集心理との闘いでもあるので、適切で速やかな情報発信は非常に大切です。

経済産業省では、本日、事業者サポート専用のLINEアカウントを開設しました。利用規約に同意して、メインメニューから気になる項目をタップすれば、その詳細と相談窓口の電話番号が出てきます。なんとスムーズなUI!(LINEの皆様、本当にお疲れ様です!)

「経済産業省 事業者サポート」でアカウント検索すると出てきますので、ぜひ活用してみてくださいね。

また、こちらの経済産業省からのお知らせも併せてご確認ください。

新型コロナウイルス感染症で影響を受ける個人事業主の皆様へ(経済産業省からのお知らせ)

◎小さな声が、大きな声に

今回、数日間で300名を超えるフリーランス・自営業者の皆さんが、フリーランス協会の緊急コメント募集に答えて、詳細でリアルな影響の実態を報告してくださいました。寄せられた悲鳴は、個人情報を伏せて全件リアルタイムで関係省庁に共有していました。

また、前述の緊急要請は、瞬く間に2400名を超える署名賛同を集めて拡散され、テレビや新聞など数多くのメディアで報じて頂きました。その後も官邸での首相&大臣ヒアリング日本記者クラブ会見自民党でのヒアリングなどで少しずつお願いごとを追加したりもしましたが、政府は一貫して実に真摯に耳を傾けてくれました。

皆さんが届けてくださった小さな声が大きな力となったお陰で、私たちの要請は、ほぼ満額回答を得ることができたのです。

声を上げたり、公開/非公開のヒアリングに協力したりしてくださったフリーランス協会会員・フォロワーの皆様、そして様々な提言の場を用意し、支援策の設計に奔走してくださった関係省庁や議員の皆様に、この場を借りて心からの感謝を申し上げます。

そして、「誰もが自律的なキャリアを築ける世の中」を目指したフリーランス協会の活動は、まだまだ続きます。皆さんもぜひこの機会に、声を上げれば社会は変わるということを実感して頂き、今後も実態調査へのご協力を始め、様々なご意見を寄せていただけたら嬉しいです。

◎その他の支援策

こちらも併せてご確認ください。

【新型コロナ関連・追記】個人事業主が使える資金繰り支援(最大4000万円まで実質無利子・無担保など)

【新型コロナ関連】所得税・法人税・消費税、地方税を1年間納付猶予など

【新型コロナ関連】アーティスト・イベント主催者に朗報!チケット返金の寄付金控除が可能に

【新型コロナ関連・追記あり】最大80万円が無利子・保証人無しで貸付可能に(償還免除あり)

https://blog.freelance-jp.org/20200318-7624/

【新型コロナ関連】東京都が休業要請の協力事業者に「感染拡大防止協力金」

フリーランスだからこそ、できることを考えたい ~支援される側から、支援する側へ~

毎週メルマガ配信

検索

新着記事

人気記事